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《青衣の女性の肖像》

Portrait of a Lady in Blue
《青衣の女性の肖像》トマス・ゲインズバラ
Wikimedia Commons / エルミタージュ美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
トマス・ゲインズバラ
制作年
1777–1783年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
76.5 × 63.5 cm
流派
ロココ
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高く結い上げた白い髪に、羽根と青いリボンの帽子をのせた女性が、かすかな笑みを浮かべてこちらを見る。白いドレスの胸元では、カメオの腕輪をはめた手が、青い絹の肩掛けを押さえている。

概要

《青衣の女性の肖像》(英: Portrait of a Lady in Blue)は、イギリスの画家トマス・ゲインズバラが1770年代末から1780年代初めに描いた油彩の肖像画である。縦76.5センチ、横63.5センチのキャンバスで、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館が所蔵する。羽根飾りの帽子をのせた高い髪型の若い女性を、胸から上で描いている。ロシアの法律情報通信社RAPSIによれば、ロシアにあるゲインズバラの唯一の作品で、描かれた女性をボーフォート公爵夫人とみる美術史家もいる。モデルが確かに誰かは、わかっていない。

画面の読み解き

暗い茶色の背景の前で、女性が体をわずかに左へ向け、首を少し傾けて、見る者に静かなまなざしを向けている。唇にはかすかな笑みが浮かび、頬は薄く紅に染まる。白粉をはたいた髪は高く結い上げられ、その上に、ダチョウの羽根と青いリボンで飾った淡い色の帽子がのる。首には黒いリボンを蝶結びにし、その先に小さな金の十字架が下がる。胸の開いた白いドレスの上で、カメオの腕輪をはめた右手が、青い肩掛けを胸に押さえている。

技法・様式

2017年から翌年に日本を巡回した「大エルミタージュ美術館展」の兵庫県立美術館の報道資料は、ゲインズバラを、フランドル出身のヴァン・ダイクなどの影響を消化して、冷静な優雅さをたたえた肖像画を描いた画家と紹介する。本作でも、髪や羽根、薄いドレスや肩掛けの絹は、細かく描き込まれず、軽く素早い筆の重なりで表されている。暗い背景から、肌と白いドレス、青い肩掛けが明るく浮かび上がるキアロスクーロの効果に加え、青と白の冷たい色の調和が画面をまとめている。1774年にロンドンへ移り、上流の人々の肖像画家として活躍した時期の作である。

来歴

RAPSIによれば、本作は収集家アレクセイ・ヒトロヴォがエルミタージュに遺贈したもので、1916年に同館の所蔵となった。ヒトロヴォはイギリスの肖像画を集めており、そのコレクションが遺言によって同館に入った。所蔵番号ГЭ-3509。2017年から2018年にかけては、東京の森アーツセンターギャラリー、名古屋の愛知県美術館、神戸の兵庫県立美術館を巡回した「大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」に、《青い服を着た婦人の肖像》の題で出品された。

意義

本作は、美術館が所蔵するパブリックドメインの絵画の図像をめぐる、ロシアの裁判でも知られる。RAPSIによれば、エルミタージュは、本作の図像を自分のデザインに使ったファッションデザイナーを訴え、2013年2月にスタヴロポリ地方の商事裁判所が、同館の求めどおり使用を禁じた。同年5月に控訴裁判所もこれを支持したが、9月には知的財産裁判所が審理のやり直しを命じた。この争いは、ロシアの美術館が所蔵品の図像の商業利用にどこまで権利を持つかをめぐる議論として注目された。