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《メドゥーサの首》

Testa di Medusa
《メドゥーサの首》カラヴァッジョ
Wikimedia Commons / ウフィツィ美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
カラヴァッジョ
制作年
1595–1599年
素材
盾の板に張ったキャンバス / 油絵具・金
寸法
55 × 55 cm
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緑がかった円い盾の中央に、切り落とされたメドゥーサの首が浮かぶ。髪の代わりに蛇がうねり、目を見開いて口を大きく開けた顔から、赤い血が流れ落ちる。盾の縁は金の細かな唐草文様で飾られている。

概要

《メドゥーサの首》(伊: Testa di Medusa)は、カラヴァッジョが描いた油彩画である。直径55センチの円い盾の表に張ったキャンバスに描かれ、フィレンツェのウフィツィ美術館が所蔵する。ギリシア神話で、見る者を石に変える怪物メドゥーサが、英雄ペルセウスに首を斬られた瞬間の姿を描いた神話画である。制作年は、所蔵館の紹介では1595年、イタリア文化省の目録では1598〜1599年とされ、確定していない。イタリア・バロック絵画の出発点に立つ画家の、ローマ時代初期の作品である。

画面の読み解き

緑がかった円い盾の中央に、切り落とされたばかりのメドゥーサの首が浮かぶ。髪の代わりに無数の蛇がうねり、もつれ合って四方へ頭をもたげる。眉を寄せて目を見開き、口を大きく開けて叫ぶ顔は、まだ意識が残っているかのようである。首の切り口からは、赤い血が幾筋も流れ落ちる。光は左上から当たり、首の右には盾の面に落ちた影が描かれていて、首が盾から浮き出して見える。盾の縁は、暗い地に金の細かな唐草文様をめぐらせた帯で飾られている。

技法・様式

文化省の目録によれば、カラヴァッジョは、暗い地に金の細かな飾りをめぐらせた古い馬上試合用の盾に、メドゥーサの首を描いた。本作はかつて、16世紀の盾にカラヴァッジョが手を加えただけのものと考えられていたが、X線調査によって、一人の画家による独立した作品と認められたという。盾の内側には描かれた装飾が残り、腕を載せるビロードのクッションや革の断片、腕を締めた帯の名残であるビロードと絹の糸くずも見られる。目録はまた、美術史家フリートレンダーが、ミラノの甲冑師ピッチニーニ家がつくり、1522年に皇帝カール5世に贈られた、中央にメドゥーサを置いた円い盾に着想の源を見たことを紹介している。

来歴

所蔵館によれば、本作はフランチェスコ・マリア・デル・モンテ枢機卿が盾として注文し、トスカーナ大公フェルディナンド1世・デ・メディチへの贈り物とした。一方、文化省の目録は、1608年にフェルディナンドの子コジモ2世がオーストリアのマリア・マッダレーナと結婚した際の贈り物とする説を挙げる。ただし1604年には詩人ガスパレ・ムルトラが『詩集』のマドリガーレで本作を詠んでおり、いつフィレンツェに届いたのかは議論が分かれ、それが制作年の問題にもつながっているという。本作はもとウフィツィの武器庫で、馬に乗った騎士の甲冑の手に持たされていた。その甲冑は、美術史家ハイカンプによって、1601年にペルシアのシャー・アッバースから贈られた東方の甲冑と特定されている。所蔵番号は1890年目録の1351番。2018年2月19日に開いたカラヴァッジョと17世紀絵画の展示室群では、本作に一室が与えられ、大きな赤いパネルを背にした新しいケースに収められた。

意義

盾にメドゥーサを描く意味について、文化省の目録は、ロドヴィーコ・ドルチェの『色彩についての対話』の一節を紹介する。メドゥーサの首を贈ることは、受け取る者に、人を石のようにして人間らしい感覚を奪い、徳ある行いをできなくする世の淫らな誘惑に対して、武装しておくよう告げる意味をもつという。斬首の瞬間の叫びという主題は、同じ時期の《ホロフェルネスの首を斬るユディト》にも受け継がれ、カラヴァッジョが一瞬の劇を描く画家であることをよく示している。