《手紙を書く男》
- 作者
- ハブリエル・メツー
- 制作年
- 1664–1666年
- 素材
- 板 / 油絵具
- 寸法
- 52.5 × 40.2 cm
- 所蔵
- アイルランド国立美術館 (NGI.4536)
- 時代
- バロック・ロココ
- 流派
- オランダ黄金時代の絵画
窓から光が差す部屋で、黒い服の若い男が、ペルシア絨毯を掛けた机に向かって手紙を書いている。窓の奥には地球儀がのぞき、壁には金の額の風景画が掛かる。椅子の背には男の帽子が掛けられている。
概要
《手紙を書く男》は、オランダの画家ハブリエル・メツーが1664年から1666年に描いた油彩の板絵で、アイルランド国立美術館が所蔵する。縦52.5センチ、横40.2センチ。所蔵館によれば、対作品の《手紙を読む女》とともにメツーの最も名高い作品で、17世紀に描かれたオランダの風俗画の中でも最も優れたものに数えられる。1987年にアルフレッド・ベイト卿夫妻が館に寄贈した。
画面の読み解き
所蔵館によれば、手紙を書くという主題は、1650年代から60年代のオランダの風俗画家たちのあいだで大きな人気があった。男は手紙を書いている最中で、それはおそらく対作品に描かれた女に宛てたものである。流行の黒い衣装と、机に掛けられたペルシア絨毯は彼が裕福であることを、窓の向こうの地球儀は彼の教養を示している。
技法・様式
所蔵館によれば、メツーは宗教画の画家として出発したが、当時の日常生活の描写で最も熟達した専門家の一人となった。その作品はきわめて多彩で、他の画家の主題や様式をたやすく取り入れ、新しい構図に作り変えた。本作と対作品はともにヨハネス・フェルメールの影響を示す。メツーは、デルフトのフェルメールの工房を訪ねて作品を知ったのかもしれないが、それよりも、フェルメールの絵をおそらく20点ほど持っていた地元の収集家ピーテル・クラースゾーン・ファン・ライフェンの家で見た可能性が高いという。
来歴
所蔵館によれば、1720年3月28日のアムステルダムでのヘンドリック・ソルフの売り立てに対作品と一組で出され、1724年のブライン売り立て、ヨハネス・コープ、1744年から1750年ごろのアムステルダムのヘリット・ブラームカンプの収集を経て、1771年のブラームカンプ売り立てでヤン・ホープが買った。ホープ家に伝わり、ディープディーンにあったフランシス・ペラム・クリントン・ホープ卿の収集が1898年に一括して売られたのち、アルフレッド・ベイト卿の手に渡り、1987年に夫妻から館に贈られた。
意義
所蔵館の沿革によれば、ベイト夫妻はこのとき17点の古典絵画を寄贈し、館のベイト・ウィングの名はこれにちなむ。本作は、2010年から翌年にかけてダブリン、アムステルダム国立美術館、ワシントン・ナショナル・ギャラリーを巡回したメツー展に出品され、2018年から翌年には東京の上野の森美術館と大阪市立美術館の「フェルメール展」でも展示された。