《プロヴァンスの家》
- 作者
- ポール・セザンヌ
- 制作年
- 1885年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 64.8 × 81.3 cm
- 所蔵
- インディアナポリス美術館
- 時代
- 世紀末〜ポスト印象
- 流派
- ポスト印象派
青灰色の岩肌を見せる山の尾根が、画面の上半分に横に連なる。その手前に、赤茶の瓦屋根の白い農家が一軒、木立に半ば隠れて立つ。右には葉の落ちた木の並ぶ橙色の畑が、手前には緑の草地と道が広がる。
概要
《プロヴァンスの家》は、フランスの画家ポール・セザンヌが1885年頃に描いた油彩の風景画で、アメリカ中西部のインディアナポリス美術館が所蔵する。館の記録では縦64.8センチ、横81.3センチのキャンバスで、別題は《ガルダンヌ近くのサント=ヴィクトワール山の前の家》。所蔵番号は45.194で、館のH206室に展示されている。セザンヌ協会が監修するオンラインのカタログ・レゾネは、ジョン・リウォルドの目録(573番)に従って制作を1886年から1890年とし、寸法を縦65.5センチとしている。
画面の読み解き
館の展示解説によれば、セザンヌは故郷である南フランスの風景を愛し、画業の多くをその制作に捧げた。本作が描くのは、画家の好んだ画題サント=ヴィクトワール山の南側から下る尾根である。カタログ・レゾネによれば、研究者ドニ・クターニュがモティーフを特定しており、描かれた家はファブリック地区にあり、山はラ・バルクの方角から見ている。画商ヴォラールの台帳には「手前は緑で道があり、赤い屋根の家、その先に青い山」と記されている。画面では、青灰色の岩肌の尾根が上半分を横切り、手前の白い農家は木立に半ば隠れる。右手には葉を落とした木の並ぶ橙色の畑が広がる。
技法・様式
館によれば、本作はセザンヌの円熟期の様式をよく示す作品で、自然の奥にある構造を示そうとする画家の意図が表れている。セザンヌは風景を幾何学的な形の組み合わせとして描いた。起伏のある土地は青、緑、黄褐色の横の帯の連なりとなり、そこに木々の縦の線と、ぽつんと立つ農家の量感が区切りを入れている。
来歴
館とカタログ・レゾネによれば、本作はおそらく画家から画商アンブロワーズ・ヴォラールの手に渡り、カタログ・レゾネによれば1909年12月に劇作家アンリ・ベルンスタンが入手した。1910年1月にパリのベルネーム=ジュヌ画廊の「セザンヌ展」に出品されたのち、1911年6月にパリのドルオー競売場で開かれたベルンスタンの売り立てに出て、収集家オーギュスト・ペルランが手に入れた。1918年にはドイツの収集家ゴットリープ・フリードリヒ・レーバーの所蔵となり、その住まいの写真に本作が写っている。1936年頃にニューヨークのマリー・ハリマン画廊に渡り、インディアナポリスの収集家キャロライン・マーモン・フェスラーが購入して、1945年にジョン・ヘロン美術学院(現在のインディアナポリス美術館)に寄贈した。
意義
館の展覧会歴によれば、本作は1936年のトレド美術館「セザンヌとゴーギャン」、1990年にエクス=アン=プロヴァンスのグラネ美術館で開かれた「サント=ヴィクトワール セザンヌ 1990」、1996年のフィラデルフィア美術館の回顧展などに出品されてきた。館が2023年に公開した1883年から2023年までの沿革の記事でも、フェスラーが寄贈した作品の一つとして本作の図版が掲げられている。同じ山を正面から描いた作品に、ポスト印象派の風景画の到達点を示す《サント=ヴィクトワール山》(バーンズ・コレクション)がある。