《サント=ヴィクトワール山》
- 作者
- ポール・セザンヌ
- 制作年
- 1892–1895年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 73 × 92 cm
- 所蔵
- バーンズ・コレクション (BF13、展示室2)
- 時代
- 世紀末〜ポスト印象
- 流派
- ポスト印象派
低い丘から見下ろす谷に、赤い瓦屋根の農家と緑の畑が広がる。その向こうに、淡い紫と黄土色の石灰岩の山が、画面の中央に正面からどっしりとそびえる。右手の中景には、古代ローマの水道橋がかすかに見える。
概要
《サント=ヴィクトワール山》(仏: La Montagne Sainte-Victoire)は、ポール・セザンヌが1892年から1895年に描いた油彩の風景画である。縦73センチ、横92センチのキャンバスで、アメリカ・フィラデルフィアのバーンズ・コレクションが所蔵する。所蔵館によれば、南フランスのエクス=アン=プロヴァンス一帯にそびえるこの山は、セザンヌの最も好んだ画題の一つで、子どもの頃から歩き回り、さまざまな場所から数十回にわたって描いた。
画面の読み解き
所蔵館によれば、セザンヌは低い丘に立ち、赤い瓦屋根の農家が点在する谷を見下ろして本作を描いた。中景には道と高架橋がかすかに見え、画面右手には古代ローマの水道橋がわずかにうかがえる。どっしりとした山は正面から左右対称に置かれ、画面を支配する。所蔵館の解説によれば、山は朝の日に白く輝き、夕暮れには桃色や橙に、夜には紫に染まって見えた。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、セザンヌは距離、光、色、比率を組み合わせて遠さの感覚を生み、画面の奥行きの層を大胆に圧縮した。色は主に緑、黄土、紫の三色で、それらが互いに溶け合い映し合って、前景・中景・遠景をひとつの全体にまとめている。画家は友人に、風景をうまく描くにはまず地質の構造を知らねばならず、地層が絵の主な面になると語ったと伝えられる。
来歴
所蔵館によれば、本作は画商アンブロワーズ・ヴォラールから、アムステルダムの収集家コルネリス・ホーヘンダイク、画商ポール・ローゼンベルグの手を経て、1920年7月1日にパリのデュラン=リュエル画廊を通じてアルバート・C・バーンズが購入した。所蔵番号はBF13で、館の展示室2の西の壁に掛かる。1993年から1995年には、国立西洋美術館を含む世界巡回展に出品された。
意義
所蔵館によれば、サント=ヴィクトワール山はプロヴァンスの象徴で、紀元前102年にローマの将軍マリウスがゲルマン人を破った戦いの地を見下ろし、その名もこの勝利にちなむ。急速な工業化の時代に、山は画家にとって古くからの本当のフランスの田園を表していた。1886年に故郷へ戻ってから、これほどセザンヌにつきまとった画題はほかになく、一枚一枚が芸術の完成へ向かう険しい登攀だったという。ポスト印象派の風景画の到達点を示す連作の一点である。