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《ザクロの聖母》

Madonna col Bambino e angeli (Madonna della melagrana)
《ザクロの聖母》サンドロ・ボッティチェッリ
Wikimedia Commons / ウフィツィ美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
サンドロ・ボッティチェッリ
制作年
1487年
素材
テンペラ / パネル
寸法
143.5 × 143.5 cm
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円い画面の中央で、青いマントの聖母が膝の幼子イエスを抱き、六人の天使が左右から寄り添う。幼子は聖母が差し出すザクロに手をかけ、こちらを見つめる。頭上からは金色の光の筋が放射状に降りそそぐ。

概要

《ザクロの聖母》(伊: Madonna della melagrana)は、イタリアの画家サンドロ・ボッティチェッリが1487年頃に描いたテンペラの板絵である。直径143.5センチの円形画で、六人の天使に囲まれた聖母子を描く。幼子イエスが手にするザクロは、キリストの受難の象徴とされる。ウフィツィ美術館が所蔵する。

画面の読み解き

所蔵館の解説によれば、母の膝の上で、幼子イエスは聖母が差し出すザクロをつかむ。ザクロはキリストの受難の象徴とされ、その赤い粒は、人類の救いのためにキリストが流した血を思わせた。二人の天使が手にするユリとバラは、伝統的に聖母とその純潔に結びつく花である。左の天使は、衣の上に「アヴェ・マリア、恵みに満ちた方」の祈りを刺繍した帯を掛ける。上からは光の筋が放射状に広がり、神の恵みが降りそそぐことを示す。円形の画面は、教会でなく世俗の場に置く聖画に使われ、教会のための絵より親しみのある構図をとることが多かったが、本作は厳格な左右対称、記念碑のような大きさ、厳かな性格で際立つ。人物たちの物思いに沈んだ顔はどこか悲しげで、イエスの運命を予感させる。

技法・様式

板にテンペラで描かれる。所蔵館によれば、本作は当初の額縁を保っており、これほど古い作品としてはかなり珍しい。額縁は彫刻を施した木に金箔と彩色を重ねたもので、円周に沿って青地に金のユリの紋が並ぶ。フィレンツェの熟練した木工の工房の作とみられ、ジュリアーノ・ダ・マイアーノとジュリアーノ・ダ・サンガッロの両方の名が挙げられている。同館には、同じく円形の聖母子を描いた《マニフィカトの聖母》もある。

来歴

所蔵館によれば、この大きな板絵は、1487年の支払いの記録と結びつけて考えられている。それは、フィレンツェ共和国の財務を扱う役所「マッサーイ・ディ・カーメラ」の謁見の間に置く聖母の円形画を描いた代価を、ボッティチェッリに払ったものである。この役所がヴェッキオ宮殿と、今のバルジェッロ国立博物館にあたる建物のどちらにあったかは定かでない。17世紀にはメディチ家の重要な収集家の一人、レオポルド・デ・メディチ枢機卿のコレクションに入り、1780年からウフィツィにある。所蔵番号は1890/1607。現在は「ボッティチェッリ、ヴィーナス」と題された第A12室に展示されている。

意義

ja.wp によれば、トンドと呼ばれる円形画は、15世紀半ばからフィレンツェの富裕な市民の邸宅を飾る形式として流行した。所蔵館は、本作がその親密な形式をとりながら、厳かな記念碑性を備えている点に特色を見る。聖母子の悲しげな表情とザクロの象徴によって、幼い姿に受難の予感が重ねられている。ja.wp によれば、本作には多くの写しが残る。