《聖母子と殉教者聖ペテロ》
- 作者
- ロレンツォ・ロット
- 制作年
- 1503年
- 素材
- 板 / 油絵具
- 寸法
- 55 × 87 cm
- 所蔵
- カポディモンテ美術館
- 時代
- ルネサンス
頭に鉈を、胸に短剣を受けた黒い修道服の聖ペテロが立ち、隣で聖母が幼子を膝に抱く。聖母の手は、聖人の前に立つ幼い洗礼者ヨハネの頭に添えられ、背後には丘と町の風景が広がる。
概要
《聖母子と殉教者聖ペテロ》は、ヴェネツィア生まれの画家ロレンツォ・ロットが1503年に描いた油彩の板絵で、ナポリのカポディモンテ美術館が所蔵する。館が Google Arts & Culture に寄せた記録では、板に油彩で、1503年の年記がある。寸法は縦55センチ、横87センチ前後とされる。英語版ウィキペディアによれば、裏面に「1503年9月20日」と書き込まれており、その筆跡はロットのものではないが16世紀のものとして受け入れられている。画面の右下には「L. LOTVS P.」の署名が見える。
画面の読み解き
画面の左には、ドミニコ会の黒い修道服を着た殉教者聖ペテロ(ヴェローナのペテロ)が立つ。Google Arts & Culture の解説によれば、待ち伏せにあって殺されたこの聖人は、頭に鉈を、胸に短剣を受けた姿で描かれている。聖人は手に殉教の棕櫚を持つ。右では、赤い布を背にした聖母が、裸の幼子を膝の上に抱いてうつむき、伸ばした手を、聖人の前に立つ幼い洗礼者ヨハネの頭に添える。ヨハネは細い十字架の杖を肩にかけ、胸に手を当てている。背景には、丘の上の町や川の流れる谷が、青い山並みまで続く。
技法・様式
Google Arts & Culture の解説によれば、ロットはほかのヴェネツィアの巨匠たちと違っていた。彼らの技法が、濃い色を層に重ねていくものだったのに対し、ロットは色に彫刻のような質を求め、鋭い光で明暗の対比を生み出した。人物の輪郭のくっきりとした明晰さは、その道徳的な性格を映しており、大理石のような聖母の顔は、その荘重さを示しているという。
来歴
Google Arts & Culture の解説によれば、1503年、司教ベルナルド・デ・ロッシは、政敵が企てた陰謀を逃れた。守護聖人に感謝するために、才能ある画家ロットに描かせた奉納の絵が本作だとされる。待ち伏せで殺された殉教者聖ペテロの姿は、注文主にも起こりえた運命を示している。もともとロットは、聖母の前にひざまずく司教の姿を描いていたが、その世紀の終わりに消され、幼い洗礼者ヨハネに描き替えられた。この描き替えはロットの手ではない。英語版ウィキペディアによれば、本作は1524年にパルマへ逃れたロッシがおそらく携えていき、のちにファルネーゼ家の収集に入って1650年の目録に初めて現れ、1760年にナポリへ移された。
意義
英語版ウィキペディアは、本作を、知られている限りロットの最初の作品とする。同じ記事は、司教の暗殺の企てが1503年9月29日に予定されていたとし、本作をそれを逃れたことへの奉納画とみる美術史家の説を紹介している。