クレジット方針 収録範囲について お問い合わせ
作品COLLECTION 画家ARTISTS 流派MOVEMENTS 時代PERIODS 所蔵MUSEUMS 様式史HISTORY 用語集GLOSSARY 検索SEARCH

《エラニーの干し草刈り》

Fenaison à Éragny
《エラニーの干し草刈り》カミーユ・ピサロ
Wikimedia Commons / カナダ国立美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
カミーユ・ピサロ
制作年
1901年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
53.9 × 64.7 cm
流派
印象派
広告

木陰の牧草地で、熊手を手にした女たちが刈った干し草をかき寄せている。ひとりは腕を上げて額をぬぐい、右端の女は腰に手を当てて立つ。奥の日なたでは、別の人々が干し草の山のそばで働く。

概要

《エラニーの干し草刈り》(仏: Fenaison à Éragny、英: Haymaking at Éragny)は、カミーユ・ピサロが1901年に描いた油彩画である。縦53.9センチ、横64.7センチ。カナダ国立美術館が所蔵する。所蔵館によれば、ピサロは1884年に家族とともにポントワーズからエプト川沿いのエラニーへ移り、1903年に亡くなるまでそこを主な住まいとした。農村の労働と収穫を描くのにうってつけの土地だったと、館は解説する。牧草地で干し草を集める女たちを描いた風俗画で、画家の晩年の作である。

画面の読み解き

木の枝が上から覆いかぶさる牧草地の手前に、5人の女が横に並ぶ。左端の女は麦わら帽子をかぶり、熊手の柄に両手をかけて立つ。その隣の女は大きな麦わら帽子の下でうつむき、長い熊手で足もとの干し草をかき寄せる。中央の女は片腕を高く上げ、もう一方の腕で額をぬぐう。その右の女は白いブラウスの胸もとを開き、前かがみになって熊手を引く。右端の女は青い上着に赤いスカート姿で、腰に手を当て、横顔を見せて立つ。手前の地面には刈り取られた干し草が厚く積もり、奥の明るい日なたでは、別の人々が干し草の山のそばで働いている。左下の隅には「C. Pissarro. 1901」の署名と年記がある。

技法・様式

所蔵館は、人物を同じような姿勢のくり返しで注意深く配したことで、線と形の均整のとれたリズムが画面を横切って生まれると解説する。熊手の柄は斜めの線となって人物どうしを結び、立つ姿と前かがみの姿が交互に並ぶ。画面全体は小さな筆触を重ねて描かれ、葉の緑や干し草の黄、服の青や赤が細かく混じり合う。木漏れ日を受けた人物の肩や頭には明るい色が置かれ、木陰と日なたの対比が手前と奥を分けている。

主題の系譜

シカゴ美術館のピサロ作品目録によれば、干し草刈りはピサロが長く取り組んだ主題である。最初の大きな作例は、1872年ごろに収集家アシル・アローザの注文で描いた《夏》とされる。エラニーへ移ってからは、《エラニーの干し草刈り》(1887年、ファン・ゴッホ美術館)、新印象派の点描による《休む干し草刈りの人々》(1891年、マクネイ美術館)、《エラニーの干し草刈り》(1892年、シカゴ美術館)などで同じ主題をくり返し描き、熊手を手にした女の姿は作品から作品へと受け継がれた。本作は、その長い取り組みの最後の時期にあたる。

来歴

左下の署名と年記のとおり1901年に描かれた。所蔵館の記録では、オタワの同館が1946年に購入した。所蔵番号は4635。それより前の持ち主は、館の作品頁には記されていない。

意義

バーゼル市立美術館は、ピサロを、素朴な暮らし、とりわけ田舎の人々の暮らしを描くことに打ち込んだ唯一の印象派の画家と評する。本作は、晩年の画家が自宅の近くの牧草地で、働く人々の姿を穏やかな光の中に描き出した作品である。