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《グランド・オダリスク》

Une odalisque, dite La Grande Odalisque
《グランド・オダリスク》ドミニク・アングル
Wikimedia Commons / ルーヴル美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ドミニク・アングル
制作年
1814年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
91 × 162 cm

青い寝台の上で、ターバンを巻いた裸の女性が背を向けて横たわり、肩越しにこちらを振り返る。右手には孔雀の羽根の扇を持ち、体のまわりには白い布がしわを寄せる。

概要

《グランド・オダリスク》(仏: Une odalisque, dite La Grande Odalisque)は、ドミニク・アングルが1814年に描いた油彩画である。縦91センチ、横162センチ。パリのルーヴル美術館が所蔵する。「オダリスク」はトルコの宮廷の後宮に仕える女性を指し、ターバンを巻いた裸の女性が寝台に横たわって、肩越しにこちらを振り返る姿を描く。所蔵館によれば、ナポリ王妃カロリーヌ・ミュラのために描かれた。新古典主義の画家アングルが、横たわる裸婦の伝統に東方への憧れを重ねた作品である。

画面の読み解き

青い繻子の寝台の上に、裸の女性が背を向けて横たわり、顔だけをこちらへ振り向けている。頭には縞模様の布のターバンを巻き、真珠の飾りをつける。所蔵館の記述によれば、左肘を青いクッションに預け、右手に持った孔雀の羽根の扇を、曲げた左脚の上にのせている。体のまわりには白と金色の布がしわを寄せ、足もとには毛皮が敷かれる。画面の右半分には模様の入った青い垂れ幕が大きく下がり、右端には香炉と水ぎせるがのぞく。暗い背景に、なめらかな肌の白さが際立つ。右下に「J.A.Ingres. Pxit 1814.Rom」の署名と年記があり、ローマで描かれたことがわかる。

技法・様式

女性の体は実際の人体よりも長く引き伸ばされ、背中から腰へのゆるやかな曲線が強調されている。メトロポリタン美術館によれば、1819年のサロンに出品されたとき、この大胆な解剖学上のゆがみは激しく批判され、「脊椎が3つ多い」と評した批評家もいた。筆の跡を残さない滑らかな肌の仕上げ、明快な輪郭線、冷たい青と温かな肌色の対比には、師ジャック=ルイ・ダヴィッドから受け継いだ線の美学と、イタリアで出会ったラファエロへの傾倒がうかがえる。自然の比例より、線の美しさが優先されている。

来歴

所蔵館によれば、作品はナポレオンの妹でナポリ王妃のカロリーヌ・ミュラのために描かれ、1819年のサロンに出品された。1899年にルーヴル美術館が購入し、現在はフランス国の所有となっている。所蔵番号RF 1158。アングルは工房とともに、灰色の単色で縮小した《グリザイユのオダリスク》(1824〜1834年頃、メトロポリタン美術館)も描いている。

意義

メトロポリタン美術館は、本作をアングルの理想美の考え方の中心にある作品と位置づける。発表当時に非難された長い背中は、かえって画家の名を象徴するものとなった。東方の後宮の女性という主題は、19世紀のフランス絵画が異国に向けたまなざしを示すものでもあり、晩年のアングルは同じ主題を《トルコ風呂》(1862年、ルーヴル美術館)で円形の画面に描き直している。