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《真珠の耳飾りの少女》

Het meisje met de parel
《真珠の耳飾りの少女》ヨハネス・フェルメール
Wikimedia Commons / マウリッツハイス美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ヨハネス・フェルメール
制作年
1665年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
44.5 × 39 cm
所蔵
マウリッツハイス美術館 (2026年10月4日まで展示休止。大阪中之島美術館へ貸出中)
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黒い闇を背に、少女が肩越しにこちらを振り返る。青いターバンと黄の上着、そして耳もとの大きな真珠。誰を描いたのかは分かっておらず、館はこれを肖像画ではなく人物の型を見せる絵と位置づける。

概要

《真珠の耳飾りの少女》(蘭: Het meisje met de parel)は、ヨハネス・フェルメールが1665年頃に描いた油彩画である。縦44.5センチ、横39センチ。デン・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵する。画面左上に「IVMeer」の署名があるが年記はない。館はこれを特定の人物の肖像ではなく、表情や衣装で人物の型を見せるトローニーと位置づけている。

来歴

1675年にフェルメールが没したのち作品は散逸し、本作は1696年の競売目録に姿を見せる。以後の持ち主は転々とし、1881年、デン・ハーグの競売でA・A・デス・トンベがわずか2ギルダー30セントで落札した。当時は汚れがひどく、フェルメール作とも見られていなかった。フェルメール作品が国外へ出るのを防ごうとしたヴィクトール・ド・ステュエールの働きかけが背景にある。相続人のいなかったデス・トンベは他の絵とともに館へ遺贈し、1903年に所蔵となった。所蔵番号670。修復は1882年、1960年、1994〜1996年に行われている。

画面の読み解き

背景は黒い闇で、時も場所も示されない。色数は少なく、ターバンの青と上着の黄が補色として響き合う。耳の真珠には輪郭線がなく、下の淡い反射と上の厚い一点という白い絵具の二筆だけで、丸みと光沢が生まれている。館はこの真珠を「本物にしては大きすぎる」と指摘する。唇は下唇を明るく、上唇の輪郭をぼかして瑞々しさを出す。1994年からの修復で、唇の端と中央に白いハイライトがあること、また真珠にもう一つあると思われていた反射が、過去の修復で剥がれた絵具の裏面だったことが分かった。

技法・様式

ターバンの青は、西アジア産のラピスラズリから作る高価なウルトラマリンである。ターバン自体は当時のオランダの装いではなく、オスマン帝国への関心から生まれた異国趣味の衣装で、そのため長く《青いターバンの少女》《ターバンを巻いた少女》と呼ばれてきた。輪郭を描かず、明暗の境を溶かして形を立ち上げる描き方は、同じ画家の《真珠の首飾りの女》や《青衣の女》にも共通する。

意義

口もとのかすかな笑みから「北のモナ・リザ」とも呼ばれる。モデルが誰かは、画家の娘マーリア、妻、まったくの創作などの説があるが、フェルメールの伝記資料が乏しく決着していない。トレイシー・シュヴァリエの小説と2003年の映画化によって世界的に知られるようになり、日本でも《真珠の耳飾りの少女》の題が定着した。