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《水浴のディアナ》

Diane sortant du bain
《水浴のディアナ》フランソワ・ブーシェ
Wikimedia Commons / ルーヴル美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
フランソワ・ブーシェ
制作年
1742年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
57 × 73 cm
流派
ロココ

森の水辺で、青と白の布を敷いた岩に、髪に三日月の飾りをつけた裸の女神ディアナが腰かけている。足もとには仲間のニンフが寄り添い、左では猟犬が水を飲み、右にはしとめた獲物と弓が置かれている。

概要

《水浴のディアナ》(仏: Diane sortant du bain)は、フランスの画家フランソワ・ブーシェが1742年に描いた油彩画である。縦57センチ、横73センチのキャンバスで、パリのルーヴル美術館が所蔵する。ローマ神話の狩りの女神ディアナが、水浴びを終えて憩う姿を描いた神話画である。所蔵館の来歴によれば、本作は描かれた年の1742年のサロンに、目録の18番「浴みから上がり、仲間の一人とともに憩うディアナ」として出品された。

画面の読み解き

森の水辺で、青と白の布を敷いた岩に、裸の女神ディアナが腰かけている。髪には三日月の飾りと真珠をつけ、脚を組んで足もとを見下ろす。そこには仲間のニンフがひざまずき、女神に寄り添っている。左では猟犬が2頭、水を飲み、手前には矢を入れた赤い矢筒が置かれる。右の草の上には、弓と、しとめた鳥などの獲物が転がる。1783年の売り立ての目録は、女神が布の上に座り、ニンフの一人がちょうどその編み上げ靴を脱がせたところで、2匹の犬と獲物が添えられていると記している。左下の石に「Boucher」の署名がある。

技法・様式

女神とニンフの白く柔らかな肌は、深い青の布と暗い森の緑を背に明るく浮かび上がり、布の襞や獲物の羽根も軽やかな筆で描き分けられている。『ラルース』の絵画事典によれば、ブーシェは1730年代末、ウードリーとともにボーヴェの近くの田園に触れて、構図のなかで、イタリア風ではない自然のままの風景に大きな位置を与えるようになった。同事典は、女性をたたえるブーシェの絵が、パリの社交界にぴったりの新しい理想の姿を打ち立てたとし、画家は人の心を揺さぶるよりも、花開いた美しさや刺激的な魅力をとらえようとしたと述べる。そのために放蕩者の評判を得たが、それは誤りで、ブーシェはエロティックというより、洗練された官能の画家だったという。

来歴

所蔵館によれば、本作は1783年2月にパリで売り立てられた、名高い愛好家で収集家のブロンデル・ダザンクール(『ラルース』によれば、ブーシェの素描を500点持っていた)の収集に、おそらく対の作品で、いまベルリンの国立美術館群にある《ヴィーナスの休息》とともに含まれ、409リーヴルで画商アモンに売られた。古い木枠には「バロン・ド・ティボン殿、1841年5月14日」と書き込まれていた。1851年3月の売り立てには《狩りのディアナ》として出され、3250フランで落札される。翌1852年2月18日の決定で、ルーヴル美術館がパリのファン・カイクから3200フランで購入した。現在はシュリー翼の「ルイ15世時代の画家たち」の部屋(第919室)に展示されている。

意義

クラーク美術館のルノワール展の特設サイトによれば、この絵はルノワールが好んだ作品の一つだった。ルノワールは本作を「最初に私の心をつかんだ絵」と呼び、ブーシェは「装飾家にすぎない」と言われても、「まるで装飾家であることが欠点であるかのようだ。ブーシェは女性の体を最もよく理解した画家の一人だ」と語ったという。所蔵館の記録によれば、本作はこの展覧会「ルノワール 身体と感覚」に貸し出され、2019年にクラーク美術館とキンベル美術館で展示された。