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《糸杉》

《糸杉》フィンセント・ファン・ゴッホ
Wikimedia Commons / メトロポリタン美術館 / CC0 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
フィンセント・ファン・ゴッホ
制作年
1889年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
93.4 × 74 cm
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渦を巻く青緑の空に黄色い三日月がかかり、白い雲がうねる。その前に、濃い緑の筆触を重ねた2本の糸杉が画面の上端まで炎のように伸び、右奥には青い山並みが、足もとには黄緑の草むらが広がる。

概要

《糸杉》は、オランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホが1889年に描いた油彩の風景画で、ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵する。館の記録では、カンヴァスに描かれ、縦93.4センチ、横74センチ。所蔵番号は49.30で、1949年にロジャーズ基金で購入された。館の825室に展示されている。館の解説によれば、本作は1889年6月の末、ゴッホが南フランスのサン=レミの療養院で1年に及ぶ滞在を始めて間もない頃に描かれた。

画面の読み解き

画面では、2本の糸杉が寄り添うように地面から立ち上がり、上端で切れるほど高く伸びている。葉の茂みは、濃い緑、黄緑、黒に近い緑の曲がった筆触を幾重にも重ねて描かれ、ところどころに白や赤の点が散る。背景の空は青緑と白の渦で埋めつくされ、右上には黄色い三日月がかかり、その下では白と淡い桃色の雲が大きくうねる。右奥には青い山並みが連なり、手前には黄緑や黄色の草が風になびくように描かれ、右下には丸い茂みと白い小さな花が見える。館の解説によれば、本作は、とても高くどっしりとした木々を間近から縦長の画面にとらえた2点のうちの1点で、もう1点はオッテルローのクレラー・ミュラー美術館にある。

技法・様式

館の解説によれば、ゴッホは糸杉という主題に魅せられ、同時に手こずってもいた。画家はこの樹を、線と比例の美しさにおいてエジプトのオベリスクのようだと書き、日の光にあふれた風景のなかの暗い斑点であり、思いつくかぎり最も興味深い暗い色調の一つで、正確にとらえるのが最も難しいとも書いている。館が2023年の展覧会「ファン・ゴッホの糸杉」に寄せた報道発表によれば、画家は1889年6月25日の手紙で、糸杉がまだ頭から離れないと記し、自分が見ているように糸杉を描いた者がまだいないことに驚いている、と書いた。

来歴

館の記録によれば、ゴッホは1889年9月28日に本作をパリの弟テオに送った。1891年にテオが亡くなると、その妻ヨハンナ・ファン・ゴッホ=ボンゲルが息子フィンセント・ウィレムのために本作を預かった。1895年6月までにパリのギャルリー・ラフィットのリュシアン・モリーヌに託され、ほかの6点の絵とともに売られた。本作は1890年のアンデパンダン展に出品されている。館は1949年に本作を購入した。

意義

館の報道発表によれば、長命で頑丈な糸杉は、古くから死、再生、不死と結びつけられてきただけでなく、激しいミストラルの風にさらされる南フランスで土地を守る存在でもあった。ゴッホは南フランスで初めてこの木に出会ってから、サン=レミで代表的なモティーフへと練り上げるまで、繰り返し取り組んだ。1888年4月の手紙ではすでに、糸杉のある星月夜、あるいは実った麦畑の上の糸杉を描きたいと書いている。2023年に館が開いたこの主題を扱う初めての展覧会では、本作は館の《麦畑と糸杉》とともに中心に据えられ、本作に関連する素描や、手紙に添えたスケッチとともに並べられた。同じ展覧会では、ニューヨーク近代美術館の《星月夜》も展示された。