《十字架上のキリスト》
- 作者
- フランシスコ・デ・スルバラン
- 制作年
- 1627年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 290.3 × 165.5 cm
- 所蔵
- シカゴ美術館 (1954.15)
- 時代
- バロック・ロココ
- 流派
- スペイン・バロック絵画
暗く何もない背景の前で、白い腰布のキリストが荒削りの十字架に四本の釘で打ちつけられ、頭を垂れる。強い光が体を照らし、上には罪状の札、十字架の足もとには署名を記した小さな紙片がある。
概要
《十字架上のキリスト》(西: Crucificado)は、スペインの画家フランシスコ・デ・スルバランが1627年に描いた油彩画である。縦290.3センチ、横165.5センチの大きなキャンバスで、シカゴ美術館が所蔵する。所蔵館によれば、1626年、セビーリャのドミニコ会のサン・パブロ・エル・レアル修道院が、若いスルバランに本作を含む連作を注文した。日本語版ウィキペディアによれば、画家は8か月で21点を描く契約を交わしている。十字架の足もとの紙片に「Franco Dezur / Fa 1627」の署名と年記がある。
画面の読み解き
所蔵館によれば、劇的に照らし出されたキリストの姿は、暗く何もない背景の前に置かれ、時と場所の外にあるように見える。静かな美しさで理想化されると同時に、個性のある顔とあくまで写実的な描写によって人間らしさも与えられている。日本語版ウィキペディアによれば、荒削りの十字架に釘づけにされたキリストはまったく孤独で、時間や空間、ほかの人物への言及はない。物語としてではなく、イコンとして描かれている。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、本作は修道院の薄暗い一室に置かれ、訪れる人は鉄格子越しにそれを見た。初期の評者たちは、絵ではなく彫刻であるかのような、強い立体感の錯覚に注目した。日本語版ウィキペディアによれば、ある称賛者は、絵と知らずに眺めた人はみな彫刻だと信じたと書いている。キリストだけに焦点を当てる描き方は、トリエント公会議後の対抗宗教改革の傾向に従ったもので、ディエゴ・ベラスケスが1632年に描いた同じ主題の作品(プラド美術館)と共通する。
来歴
所蔵館によれば、サン・パブロ・エル・レアル修道院の聖具室のために描かれ、1810年、スペイン王ジョゼフ・ボナパルトの命でセビーリャの王宮に移された。まもなくパドヴァ公アリギ・ド・カザノヴァ将軍が手に入れ、その息子が1876年にイエズス会士スタニスラス・デュ・ラック神父に贈った。その後はイエズス会の学院とともにカンタベリー、ラヴァル、ジャージー島、シャンティイと移り、1952年にバーゼルのファンクハウザー博士の手を経て、1954年に所蔵館が購入した。所蔵番号は1954.15。
意義
日本語版ウィキペディアによれば、本作は同時代の人々に大いに称えられ、何よりもその現実感が人々を感動させた。1629年には、当時リェレナに住んでいたスルバランに、セビーリャ市議会が同市に移り住むよう勧めている。