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《クレオパトラとカエサル》

Cléopâtre et César
《クレオパトラとカエサル》ジャン=レオン・ジェローム
Wikimedia Commons / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ジャン=レオン・ジェローム
制作年
1866年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
183 × 129.5 cm
所蔵
ラクリン・マーフィー美術館 (個人蔵(マイケル&スージー・マクローリン夫妻)からの貸与)

赤い衣のカエサルが書記たちと机に向かったまま、手を上げて振り向く。その前で、ほどかれた絨毯から現れた若い女王クレオパトラが、透ける布をまとい胸をあらわにして立ち、背後には絨毯を運んできた従者がかがみ込む。

概要

《クレオパトラとカエサル》(仏: Cléopâtre et César)は、フランスの画家ジャン=レオン・ジェロームが1866年頃に描いた油彩の歴史画である。縦約183センチ、横約130センチ。古代エジプトの女王クレオパトラが、ローマの将軍ユリウス・カエサルの前に初めて姿を現す場面を描く。個人蔵で、アメリカ・インディアナ州のノートルダム大学のラクリン・マーフィー美術館に貸し出され、展示されている。

画面の読み解き

場面はプルタルコスが伝える紀元前47年の逸話に拠る。ジェロームの習作を扱った画廊ガルリ・ハイムの解説によれば、兄弟の策謀で宮殿を追われた18歳の女王は、カエサルに王位を取り戻してもらおうと決め、人目につかずに彼のもとへ行くため、絨毯の包みに身を潜めて、友人のシチリア人アポロドロスに運ばせた。カエサルは若い女王の大胆さと話しぶり、魅力のとりこになったという。画面では、ほどかれた絨毯の傍らに女王がすっくと立ち、アポロドロスがその背後にかがむ。完成作のカエサルは座ったまま、左手を上げて驚きを示す。英語版ウィキペディアによれば、絨毯という細部は18世紀の翻訳が「カーペット」と訳したことに由来し、プルタルコスの語は寝具を包む袋に近い。女王が絨毯から現れる図は、主にジェロームによって広まった。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。ガルリ・ハイムによれば、本作には2点の油彩習作と3点の構図素描、クレオパトラの頭部とアポロドロスの習作素描が知られる。ヴズールのジョルジュ・ガレ美術館の最初の素描では、立ち上がったカエサルが、まだ床にいる女王を抱き起こそうと駆け寄っている。背景は『エジプト誌』の彩色図版に描かれた、デイル・エル=メディーナの小神殿をそのまま写し、完成作では左右を反転させた。一方、女王の裂け目の入った裾や、アポロドロスの頭巾といった衣装は画家の想像によるもので、空想のエジプトを映している。

来歴

英語版ウィキペディアによれば、本作はパリの高級娼婦ラ・パイヴァが、シャンゼリゼ通りに建てた邸宅のために注文した。しかし高価すぎるとして受け取りを断られ、画家の義父の画商アドルフ・グピルが買い取った。1866年のサロンに「カエサルとクレオパトラ」の題で出品され、1871年にはロンドンのロイヤル・アカデミーでも展示された。1870年代から実業家ダライアス・オグデン・ミルズの一族が所有し、1990年の売り立てで個人の収集家の手に渡った。館によれば、現在はマイケル&スージー・マクローリン夫妻からの貸与として、第109室に展示されている。館の番号はIL2023.002。

意義

英語版ウィキペディアによれば、グピル商会の版画や写真による複製が、この図像を広く行き渡らせた。本作はエジプト趣味の古典とみなされ、ジョージ・バーナード・ショーの戯曲『シーザーとクレオパトラ』や、のちの舞台や映画のクレオパトラ像に影響を与えた可能性がある。批評家からは、性と奴隷、裸体と退廃を詰め込んだ絵とも評されてきた。