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《チャールズ1世の三面肖像画》

Charles I in Three Positions
《チャールズ1世の三面肖像画》アンソニー・ヴァン・ダイク
Wikimedia Commons / ロイヤル・コレクション / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
アンソニー・ヴァン・ダイク
制作年
1635–1636年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
84.4 × 99.4 cm
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曇り空を背に、長い髪と先のとがったあごひげの男が三人並ぶ。左は横顔、中央は正面、右は斜めを向き、黒、赤、栗色の絹の衣にそれぞれ違うレースの襟をつけた、同じイングランド王の姿である。

概要

《チャールズ1世の三面肖像画》(英: Charles I in Three Positions)は、フランドルの画家アンソニー・ヴァン・ダイクが1635年から1636年に描いた肖像画である。縦84.4センチ、横99.4センチのキャンバスで、ロイヤル・コレクションが所蔵する。イングランド王チャールズ1世の顔を三つの向きから並べた三面肖像画で、ローマの彫刻家ベルニーニが王の大理石の胸像を彫る手本として描かれた。

画面の読み解き

所蔵館の目録によれば、王の頭と肩を三つの異なる視点から描いたもので、中央では見る者のほうを向いて赤い絹を、左では右へ向けた横顔で黒い絹を、右では左へ四分の三の向きで栗色の絹をまとう。三人は肩を重ねるように寄り添い、三つの顔は曇り空を背にほぼ同じ高さに並ぶ。肩まで垂れる長い髪と、整えた口ひげ、先のとがったあごひげは三つの姿で同じである。どの姿も胸に淡い青の綬をかけ、右の姿は耳に真珠の耳飾りをつけて、外套の肩には銀色の星形の記章がのぞく。左右の二人はそれぞれ片手を胸もとに添え、中央の姿の綬の先には小さな金の宝飾が下がる。背景には灰色の雲が重く流れ、その切れ間に青い空がのぞく。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、三つの顔は、ヴァン・ダイクには珍しいほどの注意と抑制をもって描かれ、肉づけされている。画家はおそらく、当時チャールズ1世の収集にあったロレンツォ・ロットの《三つの向きの男の肖像》(ウィーン美術史美術館)に影響を受けたとみられる。同じく所蔵館によれば、青いガーター勲章の綬と、模様の異なる3枚のレースの襟を含む三色の衣装との対比、念入りに描き込まれた空が、実用のための注文を美しい作品に変えている。

来歴

所蔵館によれば、本作はおそらく1635年の後半に描き始められた。王は1636年3月17日付けのベルニーニへの手紙で、「すぐに送る絵の肖像をもとに、我らの肖像を大理石で」制作してほしいと望んだ。胸像は教皇ウルバヌス8世が特に手配した、王妃ヘンリエッタ・マリアへの贈り物で、当時ローマでは、王がイングランドをカトリックに戻すのではないかという期待が抱かれていた。胸像は1636年夏に制作され、1637年7月17日にオートランズで王と王妃に贈られて、作の見事さと王の顔によく似ていることを称えられた。ベルニーニは1638年に800ポンドのダイヤモンドの指輪を贈られたが、胸像は1698年のホワイトホール宮殿の火災で失われた。絵は1822年にジョージ4世が入手した。所蔵番号はRCIN 404420。

意義

所蔵館によれば、王の肖像は今度はフィリップ・ド・シャンパーニュに影響を与えたとみられ、シャンパーニュは1642年、彫刻の手本として《リシュリュー枢機卿の三面肖像》(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)を描いた。同館によれば、ベルニーニが別の画家の横顔をもとに彫ったリシュリューの胸像は、似ていないと批判された。そこで、のちにフランスの宰相となるマザラン枢機卿は、チャールズ1世の胸像の手本を描いたヴァン・ダイクに、ベルニーニの彫像のための肖像を頼もうとしたが、画家はその依頼が決まる前に世を去った。