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《ウルカヌスの鍛冶場》

La fragua de Vulcano
《ウルカヌスの鍛冶場》ディエゴ・ベラスケス
Wikimedia Commons / プラド美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ディエゴ・ベラスケス
制作年
1630年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
223 × 290 cm
所蔵
プラド美術館 (P001171)
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薄暗い鍛冶場に、月桂冠を戴き光に包まれたアポロンが現れ、指を立てて語りかける。金床の前のウルカヌスは赤く焼けた鉄を手に振り向き、裸の上半身の職人たちも手を止めて目を見張る。

概要

《ウルカヌスの鍛冶場》(西: La fragua de Vulcano)は、スペインの画家ディエゴ・ベラスケスが1630年に描いた油彩の神話画で、マドリードのプラド美術館が所蔵する。縦223センチ、横290センチのキャンバス。所蔵館によれば、ベラスケスはイタリア滞在中に本作を描いてスペインに持ち帰り、旧約聖書に取材した《ヨセフの血染めの衣》と対をなす神話の作品として、1634年に王室の収集に加えられた。

画面の読み解き

所蔵館によれば、主題はオウィディウスの『変身物語』で、太陽神アポロンが鍛冶の神ウルカヌスのもとを訪れ、妻のウェヌスが軍神マルスと通じていることを告げる。ベラスケスは、その知らせを聞いた夫と、鍛冶場で働くキュクロプスたちの反応を描いた。光の輪に包まれ、月桂冠を戴いたアポロンが左から指を立てて語りかけ、金床の前のウルカヌスは赤く焼けた鉄をはさんだまま振り返る。職人たちは手を止め、驚きの表情で神の言葉に聞き入っている。

技法・様式

所蔵館によれば、ベラスケスはこの物語を、おどけた調子ではなく写実的に描いた。下敷きにしたのはアントニオ・テンペスタの版画だが、画家はそれを大きく描き替えている。人物どうしが互いに反応し合う語り口は、《バッカスの勝利》と比べて大きく進んでいる。灰色の下地を使っている点も新しく、イタリアの絵画に学んだとみられる。X線写真からは、画家がウルカヌスと職人の一人の表情を描きながら強めていったことが分かる。所蔵館のやさしい解説頁によれば、ベラスケスはイタリアで、裸体と感情の表し方を学んだ。

来歴

所蔵館によれば、王室の収集品で、1634年にマドリードのブエン・レティーロ宮で記録され、1701年の目録にも載る。1772年から1818年にかけては王宮にあり、1772年、1794年、1814〜1818年の目録で570番とされた。画面の左下には白い数字で「570」と記されている。現在はプラド美術館の第11室に展示されている。

意義

所蔵館が紹介する解釈によれば、美術史家ユスティは本作に嫉妬と欺瞞がもたらす作用を、ガリェゴは言葉の力を、トルナイは手仕事に対する理念の優位を読み取った。所蔵館の解説は、美術史家ハビエル・ポルトゥスが2007年の展覧会図録『ベラスケスの寓話』に書いたもので、イタリアで学んだ成果を示す神話画として本作を位置づけている。