《東方三博士の礼拝》
金地の三連のアーチの下、左の小屋の前に座る聖母の膝で幼子イエスが祝福し、年老いた博士がひざまずく。中央と右には、冠や異国風の帽子をかぶった博士と従者たちが色とりどりの衣で群がり、馬や岩山が続く。
概要
《東方三博士の礼拝》(伊: Adorazione dei Magi)は、フィレンツェの画家ロレンツォ・モナコが描いた、板にテンペラと金の祭壇画である。縦144センチ、横177センチで、フィレンツェのウフィツィ美術館が所蔵する。イタリア文化省の文化財総目録によれば、上部が三つのアーチになった板を、三つの尖頂をもつ四角い額が囲む。目録は、主画面の三博士の礼拝とキリスト、預言者をロレンツォ・モナコの作、尖頂の受胎告知と預言者をコジモ・ロッセッリの作として登録している。
画面の読み解き
画面は三つのアーチに分かれながら、一つの場面として描かれている。左では、小屋の前に座る聖母が幼子イエスを膝に抱き、最年長の博士がその足もとにひざまずく。中央と右には、ほかの二人の博士と、冠や異国風の帽子をかぶった大勢の従者がひしめき、右端には馬と岩山が見える。アーチの上の尖頂には、祝福するキリストと、受胎告知の天使とマリア、巻物を手にした預言者たちが描かれている。
技法・様式
板にテンペラで描かれ、金箔の地には刻印が施されている。ウフィツィ美術館は、ロレンツォ・モナコを、細身の体と洗練された衣の線によって聖人たちの顔に深い精神性を与えた、フィレンツェの後期ゴシックの第一人者とする。J・ポール・ゲティ美術館によれば、その作品は柔らかく肉づけした人物と、金地に映える明るく鮮やかな色を特徴とする。本作の色とりどりの衣の群れにも、その特徴がよく表れている。
来歴
文化省の目録によれば、本作は長くフラ・アンジェリコの作とされていたが、美術史家カヴァルカゼッレがロレンツォ・モナコの作と見きわめた。プレデッラ(祭壇画の下段の小画面)はフィレンツェのアカデミア美術館(Inv. 1890, n. 8616)にある。研究者は、フィレンツェのサンテジディオ聖堂から来た可能性が高いとみるが、1420年から1422年のロレンツォ・モナコへの支払いと本作を結びつける根拠は、様式のほかにはない。国の所有で、所蔵番号はInv. 1890 n. 466。
意義
ウフィツィ美術館は、同じ画家の大祭壇画《聖母戴冠》(1414年)について、カマルドリ会の霊性に自らの絵画の言語を役立てたと述べる。目録によれば、本作には、1370年ごろ生まれのロレンツォ・モナコと、1439年生まれのコジモ・ロッセッリという、世代の違う二人の画家の手が重なっている。