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《フォリー・ベルジェールのバー》

Un bar aux Folies-Bergère
《フォリー・ベルジェールのバー》エドゥアール・マネ
Wikimedia Commons / コートールド・ギャラリー / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
エドゥアール・マネ
制作年
1882年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
96 × 130 cm
流派
写実主義
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大理石のカウンターの向こうに、黒い上着の若い女性が両手をついて立つ。台の上には酒瓶とオレンジが並び、背後の大きな鏡には、にぎわう客席と、女性に向き合うシルクハットの男が映っている。

概要

《フォリー・ベルジェールのバー》(仏: Un bar aux Folies-Bergère)は、エドゥアール・マネが1882年に描いた油彩画である。縦96センチ、横130センチのキャンバスで、ロンドンのコートールド・ギャラリーが所蔵する。パリの人気のミュージックホール、フォリー・ベルジェールで、カウンターの向こうに立つ女性の給仕を描く。所蔵館によれば、マネが亡くなる前年に完成させた最後の大作で、同じ年のサロンに出品された。所蔵館は、肖像画の伝統的な形式に従いながら描かれた人物の名を示さないことも、当時の観客を驚かせたはずだとする。写実主義から出発したマネが、同時代のパリの娯楽の場を描いた風俗画である。

画面の読み解き

大理石のカウンターの向こうで、胸元をレースで飾った黒い上着の若い女性が、両手を台について正面を向く。胸には花を挿し、首には黒いリボンで小さなペンダントを下げている。台の上には、シャンパンやワイン、緑のミントのリキュール、赤い三角のロゴで知られるイギリスのバス・ビールの瓶が並び、ガラスの鉢にはオレンジが盛られ、グラスには2輪の花が挿してある。所蔵館によれば、女性はこうした売り物の品々の一つのようにも見える。背後に広がるのは、金の縁の大きな鏡に映った場内で、バルコニーには着飾った人々がひしめき、左上には緑の靴をはいた空中ブランコの芸人の脚がのぞく。鏡の右寄りには、女性の後ろ姿と、彼女に向き合うシルクハットの男性客が映っている。

技法・様式

所蔵館によれば、マネは友人たちとフォリー・ベルジェールに通い、その場で素描を重ねたが、本作はすべてアトリエで描いた。アトリエには、シュゾンという名の給仕の女性がポーズをとりに来た。彼女は画面の静かな中心であり、鏡の中の男性客と応対しているように見えるだけに、その謎めいた表情は見る者を落ち着かなくさせる。マネは通常の遠近法を無視して、二人の鏡像を右へずらし、左の瓶の映り方もずらしている。所蔵館は、こうした鏡像の戯れが、にぎわう場内の目まいのような雰囲気を強めているとみる。左手前の瓶のラベルには、署名と年記「Manet / 1882」が書き込まれている。

来歴

所蔵館によれば、本作はマネの死後の1883年に作られた財産目録に載り、1884年2月のアトリエの売り立てで、作曲家エマニュエル・シャブリエが買い入れた。1896年のシャブリエの売り立てののち、画商ポール・デュラン=リュエル、収集家オーギュスト・ペルラン、ベルリンのエドゥアルト・アルンホルト、ブダペストのフェレンツ・ハトヴァニ男爵らの手を経る。1926年3月にサミュエル・コートールドが購入し、1934年に寄贈した。所蔵番号P.1934.SC.234。日本では、2019年から2020年にかけて東京都美術館などで開かれた「コートールド美術館展 魅惑の印象派」に出品された。

意義

所蔵館によれば、フォリー・ベルジェールは本作の10年ほど前に開業し、たちまちパリで最も人気のあるミュージックホールの一つとなった。本作は、その華やかな場内を、カウンターに立つ一人の女性と大きな鏡という仕掛けだけで描き出す。所蔵館は、複雑で引き込まれる構図をつくり上げた本作を、近代生活を描いた象徴的な絵画の一つとしている。サミュエル・コートールドが集めた同館の印象派とポスト印象派の収集の中でも、ファン・ゴッホの《耳に包帯をした自画像》と並んで、同館を代表する作品である。