《窓辺の婦人》
- 作者
- カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ
- 制作年
- 1822年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 45 × 32.7 cm
- 所蔵
- ベルリン旧国立美術館
- 時代
- 新古典・ロマン
- 流派
- ロマン主義
がらんとした部屋の高い窓辺に、若い女性が背を向けて立ち、外を眺める。窓の向こうには川岸のポプラ並木と春の空が広がり、窓の上の方には帆柱の先がのぞく。
概要
《窓辺の婦人》は、ドイツの画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒが1822年に描いた油彩画で、ベルリン旧国立美術館が所蔵する。ベルリン国立美術館群の目録では、キャンバスに油彩で、縦45センチ、横32.7センチ。所蔵番号はA I 918。館の解説によれば、描かれているのは画家の妻カロリーネで、彼女はドレスデンのアトリエから、向かいのエルベ川の岸を眺めている。結婚から4年後の1822年に、フリードリヒはこの小さな私的な絵を描いた。
画面の読み解き
館の解説によれば、飾り気のない部屋の窓辺に、外を眺める若い女性の後ろ姿がある。住まいらしさを感じさせるものは何もなく、見えるのは幅の広い板張りの床のわずかな部分と、暗い壁と、高い窓だけである。部屋に生気を与えているのは、女性の姿と、対岸の淡い緑のポプラ、その背後に広がる春の空の眺めだけだという。窓の上部は細い十字の桟で区切られ、そこには教会の塔の繊細な尖塔のように、船の帆柱が現れる。背を向けて景色を眺めるこうした人物は、リュッケンフィグーアと呼ばれる。
技法・様式
館によれば、フリードリヒは簡素でがらんとした室内を、水平線と垂直線で一貫して組み立てた。青と緑と黄土色の繊細な色の響きが、ごく細かな段階で移り変わる光に目を向けさせる。館は、この「窓の絵」でフリードリヒが、内と外、近さと遠さを結びつけるロマン主義の憧れのモチーフを取り上げたとし、外への眼差しは同時に内へ、魂の中心へと向かっていると述べる。
来歴
館の解説によれば、本作は制作の年のうちに、ドレスデンのアカデミーの展覧会に出品された。ウィーンの美術雑誌は「画家のアトリエを描いた小さな絵で、独特の簡素さをもち、奥の中央には窓とエルベ川と向かいのポプラの眺めがあって、たいへん真実で美しい。ただ、フリードリヒがまたしても人物を真後ろから描くという気まぐれに従わなければ」と評した。絵はその後長く画家の一族のもとにあり、目録によれば1906年、画家の兄ヨハン・ハインリヒ・フリードリヒの息子の妻だったグライフスヴァルトのヨハンナ・フリードリヒから、ナショナルギャラリーが購入した。
意義
館によれば、ウィーンの雑誌が理解を示さなかった一方で、背を向ける女性の謎めいた姿は、詩人フリードリヒ・ド・ラ・モット・フケーに一篇のソネットを書かせた。フリードリヒの室内画にはほかに《光へ昇る女》(1825年)と《蝋燭を持って降りる女》(1825年頃)が伝わり、どちらもグライフスヴァルトのポメラニア州立博物館にある。忘れられていたフリードリヒの絵画は、1906年にベルリンのナショナルギャラリーで開かれた「百年展」で、36点の絵と57点の素描とともに再発見され、本作もそこに出品された。