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《ひまわりを描くフィンセント・ファン・ゴッホ》

Vincent van Gogh Painting Sunflowers
《ひまわりを描くフィンセント・ファン・ゴッホ》ポール・ゴーギャン
Wikimedia Commons / ファン・ゴッホ美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ポール・ゴーギャン
制作年
1888年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
73 × 91 cm
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画架に向かうファン・ゴッホが、椅子の上の青い花瓶に挿したひまわりを見つめ、絵筆をキャンバスに運ぶ。背後には色面で描かれた風景が広がり、目を細めた画家の顔は張りつめた集中を伝える。

概要

《ひまわりを描くフィンセント・ファン・ゴッホ》(英: Vincent van Gogh Painting Sunflowers)は、フランスの画家ポール・ゴーギャンが1888年12月に南フランスのアルルで描いた油彩画である。縦73センチ、横91センチで、ファン・ゴッホ美術館が所蔵する。共同生活を送っていたフィンセント・ファン・ゴッホを、「ひまわりの画家」として描いた肖像である。

画面の読み解き

所蔵館の作品目録によれば、ファン・ゴッホは野外用の画架に立てたキャンバスへ絵筆を運び、花瓶に挿した5本のひまわりを描いている。背景の色の配置はゴーギャン自身の絵を表すようで、空気遠近法を感じさせない大きな色面や青と赤の屋根は、1888年初めにポン=タヴァンで描いた作品を思わせるが、どの作品かは特定できない。籐の座面の椅子や濃い青の花瓶は、ファン・ゴッホも《ファン・ゴッホの椅子》や《寝室》に描いた黄色い家の家具で、上着も《ゴーギャンに捧げた自画像》のものと同じである。ただし12月にひまわりは咲かない。花は、ファン・ゴッホが8月に描いた静物の連作を記憶から描いたもので、いちばん大きな花に描かれた目は、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの《ひまわり》を指すとみられる。画家の手と絵筆、キャンバス、花びらは一点に集まるように描かれる。署名と年記「P. Gauguin 88」がある。

技法・様式

所蔵館の目録によれば、ゴーギャンは鉛白を含む薄い下地を粗い麻布に塗り、ごく薄く絵具を置いた。アルルに着いてから20メートルの巻を買い、二人とも使った安価な布である。ゆるく織られた繊維に絵具がしみこんでつやが消え、布目がはっきり残る。本作は例外的にワニスも裏打ちも施されておらず、表面はやや汚れているものの暗くはならず、当時の手法をよく伝える。素描帳には顔と構図全体の略図が残り、赤外線の画像でも描き直しはほとんど見られない。厚塗りのインパストを好むファン・ゴッホに対し、ゴーギャンは「こねくり回すのは嫌いだ」と手紙に書いており、本作も細い筆で薄く仕上げている。

来歴

所蔵館によれば、12月初めにファン・ゴッホは弟テオに、ゴーギャンが自分の肖像を描いていると書き、ゴーギャンは20日ごろ、テオに「ひまわりの画家」として描き終えたと伝えた。23日の夜、再び激しく言い争ったのち、ファン・ゴッホは精神の危機に陥って自分の耳を切り、ゴーギャンはテオとともにパリへ戻った。年末から年明けにかけて、ゴーギャンは本作をテオに贈り、テオは婚約者ヨー・ボンゲルへの手紙で、内面をとらえた最もよい肖像だと書いた。テオの死後は妻ヨーと息子フィンセント・ウィレムが受け継ぎ、1962年にフィンセント・ファン・ゴッホ財団に移った。1973年の開館から館に永久貸与されている。所蔵番号は s0225V1962。

意義

所蔵館の目録によれば、自然を前にして描くファン・ゴッホと、想像と記憶から描くゴーギャンは、この時期に芸術をめぐって激しく議論していた。目を細めてひまわりに没頭する姿は、目の前の題材にとらわれ、内面の深みに目を向けない画家として友を描いたとも読める。本作は友の芸術をたたえると同時に、批判する絵でもあったとみられる。9か月後、ファン・ゴッホはテオに「たしかに私だった。あのころの、ひどく疲れて電気を帯びた私だ」と書いている。