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《負傷した男》

L'Homme blessé
《負傷した男》ギュスターヴ・クールベ
Wikimedia Commons / オルセー美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ギュスターヴ・クールベ
制作年
1844–1854年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
81.5 × 97.5 cm
流派
写実主義
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夕暮れの森の木の根もとで、黒髪にひげの若い男が目を閉じて身を横たえる。白いシャツの胸元には血がにじみ、左には剣が立てかけられている。体には茶色の外套が掛かり、右手は力なくその上に置かれる。

概要

《負傷した男》は、フランスの画家ギュスターヴ・クールベが1844年から1854年にかけて描いた、自らの姿の油彩の肖像画(自画像)で、パリのオルセー美術館が所蔵する。館の記録では、キャンバスに油彩で、縦81.5センチ、横97.5センチ。所蔵番号はRF 338で、左下に「G. Courbet」の署名がある。館の1階6室に展示されている。館によれば、本作は1844年に描きはじめられ、10年ほど後、ある恋が終わったのちに描き直された。はじめは画家の肩に女性がもたれていたが、その姿は消されて剣に置き換えられ、心臓の位置のシャツには血のように赤い染みが加えられた。

画面の読み解き

画面では、夕暮れの空がのぞく森の中で、黒髪にひげをたくわえた若い男が、大きな木の根もとに身を横たえる。目は閉じられ、顔はわずかにのけぞって、眠っているようにも、意識を失っているようにも見える。はだけた白いシャツの胸元には赤い血がにじみ、画面の左には柄のついた剣が木に立てかけられている。体には茶色の外套が掛けられ、右手はその上に力なく置かれる。館は、本作がきわめて私的な自伝の主題に、決闘をあいまいかつ魅惑的にほのめかす要素と、眠りの官能的な脱力に似た死とを重ね合わせているとする。

技法・様式

館によれば、若いクールベの作品の中心には自画像がある。それらは美術と生き方についての立場を主張するもので、昔のオランダやヴェネツィアの絵画を引き継ぐことを掲げながら、ロマン主義の劇的な演出も取り入れている。本作も、苦しみによって英雄となる芸術家という、ロマン主義的なイメージを用いて自らを描いている。同じ頃の自画像には、髪をかきむしり目を見開いてこちらを見る《絶望》がある。

来歴

館の来歴によれば、本作は1877年の画家の死後、妹ジュリエット・クールベのもとにあり、1881年にパリのオテル・ドゥルオーで開かれたアトリエの売り立てに出されて、国が購入した。1882年にルーヴル美術館に配属され、1986年にオルセー美術館に移った。画家の生前には、1855年のパリ万国博覧会の時期の「レアリスム館」と、1867年のパリ万国博覧会の時期のクールベ館で展示されている。

意義

館によれば、クールベは1854年、それまでの歩みを振り返って、後援者アルフレッド・ブリュイヤスに、心の状態が変わるたびに多くの自画像を描いてきた、自分は「一言で自らの生涯を書いた」のだと書き送った。館は、本作が自分自身に向けられたこの関心をよく示す作品だとしている。