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《絶望》

Le Désespéré
《絶望》ギュスターヴ・クールベ
Wikimedia Commons / オルセー美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ギュスターヴ・クールベ
制作年
1844–1845年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
44 × 54 cm
所蔵
オルセー美術館 (カタール博物館庁の所有、2025年から長期貸与)
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画面いっぱいに若い画家の顔が迫る。見開いた目でこちらを見つめ、口を半ば開いて、両手で長い髪をつかんでいる。白いシャツの袖が大きくふくらみ、左下には赤い字で署名が入る。

概要

《絶望》(仏: Le Désespéré)は、フランスの画家ギュスターヴ・クールベが1844年から1845年頃に描いた自画像である。縦44センチ、横54センチのキャンバスで、カタール博物館庁が所有し、2025年からパリのオルセー美術館に長期貸与されている。館の題は「画家の自画像」で、「絶望」または「絶望した男」とも呼ばれる。

画面の読み解き

横長の画面に、若い画家の顔と両腕がぎりぎりまで寄せて描かれる。長い黒髪の男は目を大きく見開いてまっすぐこちらを見つめ、口をわずかに開ける。片方の手は頭の上から、もう片方は横から髪をわしづかみにし、ひじは画面の両端に届くほどに張り出す。カタール博物館庁の発表によれば、画家はふくらんだ白いシャツと青い仕事着という、ボヘミアンの芸術家の装いで自分を描いている。光は左上から差し、額と頬、白いシャツの袖を明るく照らし、茶色の背景には左上に斜めの明るい面がある。所蔵館によれば、きつい構図、大げさな表情、激しい光は、画面の外に謎めいた原因がある、突然の激しい感情を思わせる。左下には赤で「41 G. Courbet」と署名と年記があるが、所蔵館はのちに書き加えられたものとする。

技法・様式

所蔵館によれば、この若い日の自画像は、画家が人の情念を描く腕前を示す「習作の頭部」の伝統に連なる。クールベは画業の初めに、さまざまなポーズや態度で自分を演じてみせており、そこには自己の主張と、自分が何者かを探る試みの両方が表れているという。顔と腕を強い光で浮かび上がらせ、背景を暗く沈めるキアロスクーロが、表情の激しさをいっそう際立たせている。

来歴

所蔵館の来歴によれば、本作は1877年に画家が没するまでアトリエにあり、妹ジュリエットの手に渡った。1881年12月9日、パリのドルーオ館で画家の遺品の競売にかけられ、ウジェーヌ・キュズニエが1000フランで買った。その後はキュズニエ家やリュクスイユの個人の収集を経て、カタール博物館庁の所有となった。『アート・ニューズペーパー』によれば、同庁は2014年にフランスの収集家から買い取っていたが、フランス政府がそれを知らされたのは2024年で、国外への持ち出しの手続きをめぐって議論を呼んだ。2025年4月20日に貸与の協定が結ばれ、ドーハに計画中のアート・ミル美術館が開くまではオルセー美術館で展示され、その後はパリとドーハで交互に公開される。

意義

所蔵館によれば、画家は本作を生涯手放さなかった。初めて公開されたのは1873年のウィーンで、題は「画家の自画像」だった。クールベはこのとき、パリ・コミューンへの関与による投獄を逃れてスイスに亡命したばかりで、署名と年記を血のような赤で書き入れたのもこの頃とみられる。1877年には、死の数週間前にジュネーヴで「絶望」の題で再び展示された。所蔵館は、この劇的な像が画家の生涯の苦しみの時期をつなぎ、芸術家であることの困難を鮮やかに示しているとする。