《少年ヴァルフォロメイの幻視》
秋の草原で、白いルバシカの少年が手を組んで立ち、右の樫の木の下に現れた黒衣の老修道士を見つめる。修道士は光輪をいただき、小さな箱を捧げ持つ。奥には木造の教会と、川や丘の続く野が遠くまで広がる。
概要
《少年ヴァルフォロメイの幻視》は、ロシアの画家ミハイル・ネステロフが1889年から1890年に描いた油彩画で、モスクワのトレチャコフ美術館が所蔵する。美術誌『トレチャコフ・ギャラリー』の図版目録では、縦160センチ、横211センチのキャンバス。ロシアで最も敬われる聖人の一人、ラドネジの聖セルギイの少年時代を描いた作品で、画家がこのあと続けて描く「セルギイ連作」の最初の一点となった。
画面の読み解き
同誌に載ったガリーナ・チュラークの論文によれば、主題は『ラドネジの聖セルギイ伝』の冒頭の出来事である。俗名をヴァルフォロメイといった少年の前に年老いた修道士が現れ、少年が「その徳の高い生涯によって、神と人の前に偉大な者となる」と予言した。画面では、秋の草原に白いルバシカの少年が手を組んで立ち、右の樫の木の下に、光輪をいただく黒衣の修道士が小さな箱を手に現れる。奥には木造の教会と、川や丘の続く野が遠くまで広がる。
技法・様式
論文によれば、画家はこの絵に身を捧げるように取り組み、「私は自分の絵でいっぱいだった。成就するはずの奇跡の幻の空気のなかに生きていた」と回想した。背景の風景画は、マモントフの領地アブラムツェヴォの近くで描いた習作による。画家はテラスから思いがけず見た秋の眺め、左の丘とその下を流れるヴォリャ川、薔薇色の遠景、右の金色の林に少し手を加えれば、これ以上の背景はないと書いている。同時代の画家ではバスティアン=ルパージュとピュヴィ・ド・シャヴァンヌが最も近く、ネステロフはバスティアン=ルパージュの《ジャンヌ・ダルク》の前に何時間も立ち尽くした。なめらかで音楽的な構図の律動と、明るく溶けるような色が、風景と人物を実体のないもののように見せている。
来歴
論文によれば、ネステロフは1890年の移動派の展覧会に出すため、本作をペテルブルクに送った。絵は激しい論争を呼び、年長の移動派の画家たちは受け入れなかった。会場ではニコライ・ゲーの《真理とは何か》と隣り合って並んだ。パーヴェル・トレチャコフは展覧会が開く前に、この絵を自分の画廊のために買い取った。同誌の別の記事によれば、館の常設展示では、1900年代にモスクワのグラビエ工房が作った、ルネサンスの祭壇の枠を思わせる「タベルナクル」形式の額に収められている。
意義
論文によれば、本作は生涯を通じて画家の最も愛した作品だった。年老いたネステロフはトレチャコフ美術館で自分の「ヴァルフォロメイ」に会うのを好み、友人ドゥルイリンに「生きている。ありがたいことに生きている」と喜びを語った。画家は《大剃髪》とともに、本作を自分の最大の成功作に数えている。ウファのネステロフ記念バシコルトスタン国立美術館には、1889年に描かれた未完の最初の版がある。