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《テンペスタ》

La tempesta
《テンペスタ》ジョルジョーネ
Wikimedia Commons / アカデミア美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ジョルジョーネ
制作年
1503–1509年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
82 × 73 cm

稲妻が走る暗い空の下、川と橋の向こうに町が広がる。左には長い棒を手にした若い男が立ち、右では白い布を肩にかけた裸の女が草の上に座って、赤子に乳を含ませながらこちらを見つめる。

概要

《テンペスタ》(伊: La tempesta)は、ヴェネツィアの画家ジョルジョーネが描いた油彩画である。縦82センチ、横73センチのキャンバスで、ヴェネツィアのアカデミア美術館が所蔵する。題は「嵐」の意。所蔵館によれば、制作年の説は1503年から1509年まで分かれるが、1504年頃に収集家ガブリエーレ・ヴェンドラミンが注文したと考えるのが妥当だという。

画面の読み解き

画面の左下には、長い棒を手にした若い男が立ち、腰に手を当てて右を見やる。赤い上着に白いシャツ、柄物の脚衣を身につけている。右下では、白い布を肩にかけただけの裸の女が草の上に座り、赤子に乳を含ませながら、こちらをじっと見る。二人のあいだには、れんがの台に載った2本の折れた柱があり、その奥を川が流れて木の橋が架かる。向こう岸には塔や円屋根の建物が並ぶ町が広がり、右の建物の屋根には白い鳥がとまり、左奥にはアーチの残る崩れた壁が見える。暗い青緑の空は雲に覆われ、その中ほどを稲妻が走る。所蔵館によれば、二人の関係がすぐには分からないこの不思議な図像は、風景の意味や、題の由来となった稲妻に裂かれた空の意味も含めて、さまざまな解釈を呼んできた。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれ、人物は画面の左右の端に小さく置かれて、木々と町と空が画面の大半を占める。イタリアの文化財総合目録(ICCD)によれば、X線と赤外線による調査で、若い男の下に、左の水辺で水浴びをする裸の女が座っているのが見つかったほか、とくに風景に数多くの小さな描き直し(ペンティメント)が見つかっている。目録は、本作を個人が手もとで楽しむための作品とする。所蔵館は、1504年頃という年代から、本作をジョルジョーネ晩年の「記念碑的」な絵とは離れた時期の作とみる。

来歴

ICCD によれば、本作は、1530年に歴史家マルカントニオ・ミキエルがガブリエーレ・ヴェンドラミンの「古物の小部屋」で「嵐とジプシー女と兵士のいる、キャンバスの小さな風景画。カステルフランコのゾルジの手になる」と書き留めた作品と、一貫して同一視されてきた。1567〜69年と1601年の一族の目録にも記され、のちに裕福な商人クリストーフォロ・オルセッティが買って、1664年の遺言に記している。18世紀末にはジローラモ・マンフリンの手に渡り、1875年にジョヴァネッリ公のものとなった。所蔵館によれば、1932年にジョヴァネッリ公から購入された。所蔵番号は915で、第8室に展示されている。

意義

ICCD によれば、本作には神話、寓意、政治にわたる数えきれない解釈が出され、いくつもの文学や図像を混ぜ合わせた絵とみる説や、ミキエルの言うとおり嵐とジプシー女を描いただけで、読み解く必要はないとする説まである。所蔵館によれば、近年ファルチャーニは、ヴェンドラミン家をたたえる詩をもとに、棒を持つ兵士をアエネアスの次男シルウィウス、女をその母ラウィニアとし、森で彼を産む場面と読む説を出している。