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《ジャガイモを食べる人々》

De Aardappeleters
《ジャガイモを食べる人々》フィンセント・ファン・ゴッホ
Wikimedia Commons / ファン・ゴッホ美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
フィンセント・ファン・ゴッホ
制作年
1885年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
82 × 114 cm
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1885年、オランダのニューネンで描かれたファン・ゴッホ初期の代表作。小さなランプの下でジャガイモを分け合う農家の一家を、土色の画面に描く。手で土を耕した人々がその手で食べる、というのが画家が手紙に記した主題である。

概要

《ジャガイモを食べる人々》(蘭: De Aardappeleters)は、フィンセント・ファン・ゴッホが1885年の春、オランダ南部の村ニューネンで描いた油彩画である。ランプひとつの薄明かりの下で、農家の五人がジャガイモを分け合う場面を描く。パリへ出る前のオランダ時代を締めくくる作品で、画家自身が長く最良の作と考えていた。ファン・ゴッホ美術館が所蔵する。

来歴

ファン・ゴッホは1883年末から、牧師である父の任地ニューネンで暮らし、織工や農民を繰り返し描いていた。1885年の3月から4月にかけて人物の習作と構図の素描を重ね、その間に構図をリトグラフにして弟テオや友人に送っている。油彩は同年5月に仕上がったが、パリのテオの反応は芳しくなく、友人の画家アントン・ファン・ラッパルトも人体の描き方を厳しく評した。作品はテオの遺族が受け継ぎ、1962年に設立されたフィンセント・ファン・ゴッホ財団のコレクションに入って、1973年に開館した同館に収められた。所蔵番号はs0005V1962。1991年4月に同館から20点が盗み出された際には本作も持ち去られたが、逃走車のタイヤが破裂したため、犯人は絵を残して逃げている。

画面の読み解き

天井から下がる石油ランプの光が、粗い板のテーブルと五人の顔だけを照らし出す。左に帽子をかぶった男、その隣に白い頭巾の女、向かい側には背を向けた少女、奥にカップを持つ男、右端でコーヒーを注ぐ女が座る。皿のジャガイモへ伸びる手と、節くれだった指が画面の中心にある。左の壁には振り子時計と小さな額が掛かり、奥には窓と屋根の梁がのぞく。人物は整えられることなく、骨ばった顔と大きすぎるほどの手で描かれている。

技法・様式

キャンバスに油彩で、大きさは82×114センチ。画家は「皮をむいていない、ほこりをかぶったジャガイモのような色」と呼ぶ土色で全体をまとめ、緑がかった灰色と黒に近い茶を重ねている。光源をランプひとつに絞る手法は、オランダ黄金時代の絵画以来のキアロスクーロの伝統に通じる。解剖学的な正しさより、労働する体の重さを伝えることが優先され、手足の比率は意図して崩されている。中央に後ろ姿の人物を置く構図は、画家が敬愛したハーグ派のヨゼフ・イスラエルスが描いた農民の食卓の絵にも通じる。

意義

ファン・ゴッホは1887年になっても、妹ウィレミーナへの手紙で「ニューネンで描いたジャガイモを食べる人々の絵が、結局いちばんよい」と書いている。農民を美化せず、生活の手触りごと描こうとする姿勢は、アルル時代の明るい色彩へ進んだあとも変わらなかった。発表当時は暗さと未熟さを批判されたが、今日ではオランダ時代の頂点とされ、ポスト印象派へ向かう画家の出発点として読まれている。構図をほぼ同じくする油彩の習作がクレラー・ミュラー美術館にある。