クレジット方針 収録範囲について お問い合わせ
作品COLLECTION 画家ARTISTS 流派MOVEMENTS 時代PERIODS 所蔵MUSEUMS 様式史HISTORY 用語集GLOSSARY 検索SEARCH

《ひなげし》

Coquelicots
《ひなげし》クロード・モネ
Wikimedia Commons / オルセー美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
クロード・モネ
制作年
1873年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
50 × 65.3 cm
流派
印象派
広告

白い雲の流れる夏空の下、赤いひなげしが一面に散る丘の斜面を、青い日傘を手にした女性と幼い子が下ってくる。丘の上にも別の母子が立ち、遠くの木立の間には赤い屋根の家がのぞく。

概要

《ひなげし》(仏: Coquelicots)は、フランスの画家クロード・モネが1873年に描いた油彩の風景画で、パリのオルセー美術館が所蔵する。館の記録には「散歩」の別題もあり、日本語では「アルジャントゥイユのひなげし」とも訳される。館の記録では、キャンバスに油彩で、縦50センチ、横65.3センチ。所蔵番号はRF 1676で、上階の29室に展示されている。左下に「Claude Monet 73」の署名と年記がある。館は、本作が今日最も名高い作品の一つになったとしている。

画面の読み解き

館によれば、本作は夏の日に野を歩く散歩の、震えるような空気を伝える。画面の左半分では、丘の斜面を赤いひなげしが埋め、右半分には青みを帯びた緑の草原が広がる。手前では、青い日傘を持ち、帽子をかぶった若い女性が、幼い子とともに花の中を歩いてくる。丘の上にも、もう一組の母と子の姿が小さく見える。館は、手前の日傘の女性と子どもは、おそらく画家の妻カミーユと息子ジャンだとしている。地平には丸い木立が連なり、その間に赤い屋根の家が建つ。空の大部分を、白い雲がゆったりと流れている。

技法・様式

館の解説によれば、モネは輪郭を溶かし、ひなげしを表す色の斑点によって色彩のリズムを組み立てた。手前で斑点がひときわ大きく置かれているのは、目に映る印象を何よりも重んじた表れで、館はこれを抽象への最初の一歩と位置づける。二組の母子は、画面を構成する斜めの線を置くための口実にすぎず、その線によって、赤が支配する部分と、青みがかった緑が支配する部分という、色の異なる二つの区域が生まれている。

来歴

館によれば、モネは1871年にイギリスから戻るとアルジャントゥイユに住み、1878年までそこで暮らした。それは画家にとって花開く時期で、画商ポール・デュラン=リュエルの支えを受けながら、住む土地の明るい風景の中で戸外の絵画の可能性を探った。本作は1873年からデュラン=リュエルの画廊にあり、エルネスト・デュエズ、バリトン歌手ジャン=バティスト・フォールの収集を経て、1901年に再びデュラン=リュエルの手に渡った。1903年に収集家エティエンヌ・モロー=ネラトンが入手し、1906年に国へ寄贈した。装飾美術館、ルーヴル美術館、ジュ・ド・ポーム美術館を経て、1986年にオルセー美術館に移された。館の記録には、貸し出しを禁じる旨が記されている。

意義

本作は1874年、写真家ナダールの旧アトリエで開かれた、のちに第1回印象派展と呼ばれる展覧会に出品された。同じ展覧会には、モネの《印象・日の出》も出品されている。館の展覧会歴によれば、その後も1931年のオランジュリー美術館のモネ回顧展、2010〜2011年のグラン・パレの「クロード・モネ」展などに出品され、2026〜2027年のオルセー美術館の「クロード・モネ『私は絵を描いて人生を過ごす』」展の出品作にも挙がっている。