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《日傘》

El quitasol
《日傘》フランシスコ・デ・ゴヤ
Wikimedia Commons / プラド美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
フランシスコ・デ・ゴヤ
制作年
1777年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
104 × 152 cm
流派
ロココ
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土手に腰を下ろした若い女性が、閉じた扇を手にこちらを見つめる。黄色いスカートに青い胴着、毛皮の縁の白い外套をまとい、膝には小犬が眠る。後ろでは青い布を頭に巻いた若者が、緑の日傘をさしかけている。

概要

《日傘》は、スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤが1777年に描いた油彩の風俗画で、マドリードのプラド美術館が所蔵する。縦104センチ、横152センチのキャンバスで、所蔵番号はP00773。王立サンタ・バルバラ・タペストリー工場で織られる壁掛けのための原画(カルトン)で、マドリード郊外のエル・パルド宮にあった、のちのカルロス4世夫妻、アストゥリアス公夫妻の食堂を飾る10点の連作の一つとして描かれた。アラゴン州政府のゴヤ財団の作品目録は、本作の構図をゴヤの作品のなかでも最も優美なものの一つとし、スペイン絵画のなかでも最もよく知られた作品の一つに数えている。

画面の読み解き

同目録によれば、描かれた女性は流行の装いに身を包み、肌の白い、たいへん洒落たペティメトラ(フランスかぶれの伊達女)で、連作のほかの原画に描かれたロマの女やオレンジ売りの娘とはかけ離れている。女性はこちらに視線を向けながらも、しぐさは慎ましく、親密な合図と取られないよう手の扇は閉じている。連れの若者が日傘で彼女を日差しから守り、女性の膝では小犬が休んでいる。目録は、スカートの黄色と胴着の青の対比、反対側の木々の緑と釣り合う日傘の緑、そして日傘を透かして女性の顔に落ちる光の階調を、色彩の見どころに挙げる。日本語版ウィキペディアは、贅沢な装いの女性と簡素な身なりの若者との間に、身分の違いが表されているとする。

技法・様式

同目録によれば、本作は扉の上の高い位置に掛かることを考えて、低い視点から描かれている。構図は、ゴヤがアントン・ラファエル・メングスから学んだ古典主義の影響を受けたピラミッド形で、奥行きを出すために人物を小高い土手で隔てた二つの面に置き、前の女性の後ろでは、土手が日傘を持つ若者の脚を隠している。二人は背景の風景に縁取られ、対になる原画《酒を飲む男》にも同じ構成が使われた。多くの研究者は本作にフランス絵画の影響を認め、特にジャン・ランクの《ウェルトゥムヌスとポモナ》(1710〜1722年、モンペリエ、ファーブル美術館)と比べている。

来歴

同目録によれば、ゴヤは1777年8月12日、《ベンタ・ヌエバでの喧嘩》《マハとマントの男たち》《酒を飲む男》とともに本作を工場に納めた。前の原画を納めた3月3日から間があいたのは、友人マルティン・サパテールとの手紙から知られるゴヤの病のためだった。本作から織られたタペストリーは、《酒を飲む男》と対になって、食堂の東側の扉の上に掛けられることになっていた。日本語版ウィキペディアによれば、原画は1856年から1857年にかけて王宮に移され、1870年にプラド美術館に入った。

意義

アメリカの美術史家ジャニス・トムリンソンは、この連作を七つの大罪と結びつけて道徳的に読み、本作の女性を「高慢と虚栄の擬人化以外の何ものとして見られようか」と問いかけている。本作はメキシコ、パリ、モスクワ、ボストンなど各地の展覧会に出品され、2014年にはプラド美術館の「マドリードのゴヤ タペストリーの原画 1775〜1794年」展、2024年にはローマのカピトリーニ美術館の「ゴヤとカラヴァッジョ」展でも紹介された。