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《第九の怒濤》

Девятый вал
《第九の怒濤》イヴァン・アイヴァゾフスキー
Wikimedia Commons / ロシア美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
イヴァン・アイヴァゾフスキー
制作年
1850年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
221 × 332 cm
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嵐の明け方の海で、折れた帆柱の残骸に男たちがしがみつき、一人が赤い布を振り上げる。背後には緑に透ける大波が立ち上がり、裂けた雲のあいだから黄金色の朝日が海を照らしている。

概要

《第九の怒濤》(露: Девятый вал)は、イヴァン・アイヴァゾフスキーが1850年に描いた油彩画である。縦221センチ、横332センチ。サンクトペテルブルクのロシア美術館が所蔵する。嵐の一夜が明けようとする海で、難破した船の帆柱の残骸にすがる人々と、迫りくる大波を描く。所蔵館は、画家の作品の中で最も広く親しまれ、最も名高い一点とし、その初期のロマン主義の時代の頂点に位置づけている。

画面の読み解き

画面の下の手前で、折れた帆柱と帆桁の残骸に、6人ほどの男たちがしがみついている。一人は赤い布を振り上げ、ほかの者は互いに体を支え合い、帆柱から垂れた綱が波間へ伸びる。その背後では、緑色に透ける大きな波が白いしぶきを上げて立ち上がり、今にも襲いかかろうとしている。画面の上半分では厚い雲が裂けて、黄金色の朝日が海を照らす。空と海は橙、黄、紫、緑の光に染まり、光を受けた波頭は透き通るように輝く。左の手前と右の奥にも、うねる波が連なっている。

技法・様式

所蔵館によれば、人々のあいだに伝わる言い伝えでは、9番目に来る波が最も恐ろしく、最も破壊的で、最も力強い波とされる。しかし夜の闇はすでに希望の光に切り裂かれており、救われようとする必死の意志が荒れ狂う大洋に打ち勝つ、と館は読む。ロマン主義的な感情の高まりと鋭い写実の目が一つに結びついている点も、館が強調するところである。画家は実景を前にしてではなく、記憶をもとにアトリエで描いた。「生きた自然の動き、稲妻や突風は筆ではとらえられない」と語り、主題は詩人の詩のように記憶の中で組み立てられたという。

来歴

所蔵館によれば、作品はエルミタージュ美術館のロシア絵画の展示室のために買い上げられた。1897年にエルミタージュから移され、翌1898年に開館した皇帝アレクサンドル3世記念ロシア美術館の、最初期の収蔵品の一つとなった。所蔵番号Ж-2202。日本では2018年に、東京富士美術館で開かれた「ロシア絵画の至宝展」で公開されている。

意義

人の力を超えた嵐の海は、ロマン主義の画家たちが好んだ崇高の主題でもある。ただし本作では、自然の猛威の中にも救いの光が差し、所蔵館は、作品が象徴的な意味を帯びて、人間と人類、そして生命の勝利への信念を呼び起こすものになったと述べる。制作の時点で画家はすでに国際的な名声を得ており、この大作によって、荒れ狂う海と光の劇を描くロシアの海洋画の第一人者としての地位を確かなものにした。