《ベネラブレスの無原罪の御宿り》
- 作者
- バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
- 制作年
- 1660–1665年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 274 × 190 cm
- 所蔵
- プラド美術館
- 時代
- バロック・ロココ
- 流派
- スペイン・バロック絵画
白い衣に青い外套をまとった若い聖母が、胸の前で両手を重ね、天を仰いで三日月の上に立つ。金色の光と雲の中を、無数の幼い天使たちが取り巻き、足もとの天使たちが聖母を押し上げるように舞う。
概要
《ベネラブレスの無原罪の御宿り》(西: La Inmaculada Concepción de los Venerables)は、スペインの画家バルトロメ・エステバン・ムリーリョが1660年から1665年にかけて描いた油彩画である。縦274センチ、横190センチの大画面に、聖母マリアの無原罪の御宿りを描く。のちにフランスへ持ち去ったスールト元帥の名から《スールトの無原罪の御宿り》とも呼ばれ、マドリードのプラド美術館が所蔵する。
画面の読み解き
館の解説(エレナ・セナルモール執筆)によれば、ムリーリョはこの主題に、よく知られた型を作り出した。白と青の衣の聖母が胸の上で両手を交差させ、天を見上げて月の上に立ち、光と雲と天使に満ちた空間を昇っていく。無原罪の御宿りと聖母被昇天という、二つの図像の伝統を合わせた形である。ムリーリョはこの主題を二十数点描いたが、本作は勝ち誇るような姿と、上へ向かう力強い動きで際立つ。日本語版ウィキペディアによれば、右膝を曲げて左脚に重心をかけた聖母の姿勢が、うねるような構図を生み、画面の右下から左上へと昇る光が上昇の感覚を強めている。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。館によれば、本作にはダビデの塔や閉ざされた泉、棕櫚や糸杉といった、この主題に伝統的な象徴が描かれていない。それらは、トーレ・ファルファンが記述した、絵のまわりを飾っていた額にすでに描かれていたためかもしれない。その額は今もセビーリャの病院に残る。エルミタージュ美術館には、似た図像と上昇の感覚をもつ同じ主題の作があり、ほぼ同じ時期に描かれたとみられる。
来歴
館によれば、セビーリャ大聖堂の聖職者フスティーノ・デ・ネーベが、市内のベネラブレス司祭病院のために注文した。1685年にはネーベの収集にあり、1686年に病院に入った。1810年にセビーリャのアルカサルに移され、1813年から1852年まではフランスのスールト元帥の収集にあった。日本語版ウィキペディアによれば、1852年の競売でルーヴル美術館が61万5300フランで落札し、当時1点の絵に支払われた最高額だったという。1941年、フランス政府との交換によってスペインに戻り、プラド美術館に入った。現在は第16室に展示されている。所蔵番号はP002809。
意義
館によれば、制作のころ、無原罪の御宿りへの信仰は約150年にわたって高まっており、スペインはその最大の擁護者として教義とすることを強く求めたが、カトリック世界がそれを認めたのは19世紀だった。日本語版ウィキペディアによれば、プラド美術館は1981年のムリーリョ展に向けて本作の表面を修復し、2007年にはより綿密な修復を行った。