《愛の園》
石の柱廊と噴水のある庭で、着飾った男女が寄り添い、語らう。左では男が女性の腰を抱いて輪に誘い、空からは花冠や松明を持つ幼子たちが舞い降りる。右上の噴水には、胸から水を注ぐヴィーナスの像が立つ。
概要
《愛の園》は、フランドルの画家ピーテル・パウル・ルーベンスが1630年から1635年に描いた油彩画で、プラド美術館が所蔵する。館の記録では縦199センチ、横286センチのキャンバスで、館の第29室に展示されている。館の解説(アレハンドロ・ベルガラ、2021年)は、本作に画家としてのルーベンスの最も優れた資質の一つが表れていると述べる。
画面の読み解き
館の解説によれば、この神話画の恋の場面は、ルーベンスが1622年の著書『ジェノヴァの宮殿』で取り上げ、アントウェルペンの自邸の設計にも使った、16世紀末のイタリア風の庭のテラスに置かれている。右上には愛の女神ヴィーナスの像があり、場面全体をつかさどる。柱廊の中にはヴィーナスにつき従う三美神の像が見える。弓矢を持つ幼子はクピドと見分けられ、中央を飛ぶ幼子は松明と花冠を持つ婚姻の神ヒュメンである。鳩はヴィーナスに結びつき、愛と結びつきの観念を重ねている。ヴィーナスのそばの孔雀は、結婚の女神ユノへの言及と解釈されてきた。
技法・様式
館の解説によれば、本作は、ティツィアーノの《アンドロス島のバッカス祭》や《ヴィーナスへの奉献》と雰囲気がとりわけ近く、ルーベンスがこのヴェネツィアの巨匠の影響を完全に自分のものにしていることが分かる。手前でリュートを弾く男は、奇妙なことにレンブラントを思わせる姿勢をとる。柱廊の下の人物たちについて、館は、ルーベンスが同時代の多くの画家ほど慎みを気にかけなかったと記す。
来歴
館の記録によれば、本作は王室コレクションに属し、1666年のマドリードの旧王宮の目録に「ルーベンスの夜会、長さ3バーラ、幅2バーラ」として載る。その後、ブエン・レティーロ宮(1747年)、新王宮(1772年、1814〜1818年)を経て、1834年には王立絵画館(いまのプラド美術館)にあった。所蔵番号はP001690。
意義
館の解説は、青い衣の女性が、当時の画家の妻エレーヌ・フールマンによく似ていると指摘する。ルーベンスは1626年に妻を亡くし、1630年の末にエレーヌと再婚しており、解説はこの場面に画家自身の結婚生活が映されているとみる。同じ館にあるルーベンスの作品には《三美神》がある。