《フェリペ5世の家族》
円柱の立つ豪華な広間に、大きな赤い幕を背にして、王と王妃を中心に着飾った王族が並ぶ。右上の露台では楽士たちが演奏し、左奥は木々の茂る庭へ開かれている。手前には小犬と幼い王女たちがいる。
概要
《フェリペ5世の家族》(西: La familia de Felipe V)は、フランスの画家ルイ=ミシェル・ヴァン・ローが1743年に描いた油彩の集団肖像画である。縦408センチ、横520センチの大画面で、マドリードのプラド美術館が所蔵する。所蔵館によれば、スペイン王フェリペ5世と2番目の妃イサベル・デ・ファルネシオを中心に、その子孫や当時存命だった王族を一堂に描き、スペイン・ブルボン家の王の威厳と王朝の継続、王権の力を表そうとした作品である。
画面の読み解き
所蔵館によれば、構図の中心は王妃イサベル・デ・ファルネシオで、その周りに直系の子孫が並ぶ。画家は人物ごとに姿勢を変えて描き分け、王妃の権威の前の王の疲れ、先妻の子で王太子だったのちのフェルナンド6世の気取った優雅さ、画面の反対側に立つ当時のナポリ王で、のちのカルロス3世の自信を表した。フェルナンドの妃バルバラ・デ・ブラガンサの隣には、宮廷から離れていたためか、少し離れてブラジル王女が立つ。手前の幼い王女たちは群像に愛らしさを添える。人々は露台の楽士たちの演奏を聴いており、所蔵館は楽器をヴァイオリン、オーボエ、ナチュラルホルンと見分け、1739年に改められた王室礼拝堂の楽団と結びつける。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、画家は古代ローマのバロックを思わせる宮殿の広間を想像して描き、それを木々の茂る庭へと開いた。人物の豪華な衣装は勲章や宝石で飾られ、金羊毛騎士団、聖霊騎士団、ナポリの聖ジェンナーロ騎士団の徽章が、フランス王家やナポリとのつながりを示す。華やかな群像と舞台装置にもかかわらず、調子は宮廷風で洗練されており、へつらいはない。所蔵館は本作を、リゴーやド・トロワ、ラルジリエールらの先行作をしのぐ、フランス派の集団肖像の到達点とし、オランダの「会話画」との結びつきにも触れる。
来歴
所蔵館によれば、スペイン王室の収集に属し、1748年の王妃の調度係の目録、1772年と1794年のブエン・レティーロ宮の目録に記録されている。所蔵番号はP002283。現在は039室に展示されている。
意義
所蔵館によれば、1743年の前後に描かれた多くの肖像が、この大作のための習作や反復として用いられた。王家の出来事に合わせて、念入りに、おそらく時間をかけて進められた計画だったことがうかがえる。家族はほとんど「公の制度」のように示され、王妃が宮廷と政治で振るった権威も描き込まれている。