《ネイ元帥の処刑》
- 作者
- ジャン=レオン・ジェローム
- 制作年
- 1868年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 65.2 × 104.2 cm
- 所蔵
- シェフィールド・ミュージアムズ (SHEFM: VIS.1844)
- 時代
- 写実・印象派
- 流派
- アカデミック美術
霧の立ちこめる朝、長い石塀に沿ったぬかるみの道に、黒い外套の男がうつ伏せに倒れている。そばには山高帽が転がり、左手では銃を担いだ兵士たちが隊列を組んで去っていく。塀の向こうには円屋根がかすみ、壁には落書きが残る。
概要
《ネイ元帥の処刑》は、フランスの画家ジャン=レオン・ジェロームが描いた油彩の歴史画である。縦65.2センチ、横104.2センチのキャンバスで、イギリスのシェフィールド・ミュージアムズが所蔵する。シェフィールド大学のデヴィッド・マッカラムの論文(『Dix-Neuf』2020年)によれば、本作は《1815年12月7日、朝9時》の題で1868年のパリのサロンに出品され、物議を醸した。
画面の読み解き
所蔵館によれば、ミシェル・ネイはナポレオン軍の元帥だった。1814年にナポレオンが退位するとブルボン王家に忠誠を誓ったが、ナポレオンがフランスに戻ると、かつての主君のもとに再び加わった。1815年に王政が復活すると、ナポレオンの帰還を企てたとして反逆罪に問われた。同時代の人々に「勇者の中の勇者」と呼ばれた英雄で、処刑の際には目隠しを拒み、自ら撃てと命じることを許されたという。画面が描くのは、その銃殺の直後である。道には倒れた元帥と帽子だけが残され、銃殺隊はもう背を向けて歩み去っている。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。マッカラムの論文によれば、本作は処刑の瞬間ではなく、その直後を描いたもので、第二帝政期の観客にとって転覆的な性格をもっていた。画面の左3分の1に去っていく銃殺隊を、右下に遺体を置き、そのあいだを長い塀と空の道が占めている。
来歴
所蔵館によれば、1931年に寄贈された。所蔵番号はSHEFM: VIS.1844。2026年10月現在は展示されていない。
意義
マッカラムの論文は、1868年のサロンでの憤激を招いた受け止められ方を検討し、帝政下の観客と現代の観客の双方にとっての本作の転覆的な読み方を提示している。