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《騎士の夢》

The Dream of a Knight
《騎士の夢》ラファエロ・サンティ
Wikimedia Commons / ロンドン・ナショナル・ギャラリー / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ラファエロ・サンティ
制作年
1504年
素材
板(ポプラ材) / 油絵具
寸法
17.1 × 17.3 cm
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一本の細い月桂樹の下で、甲冑の若い騎士が盾を枕に眠っている。左には頭を布で覆った女性が本と剣を、右には髪をなびかせた女性が花の小枝を差し出し、背後には険しい岩山と湖へ下る野が広がる。

概要

《騎士の夢》は、イタリアの画家ラファエロ・サンティが1504年頃に描いた小さな油彩の寓意画で、ロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する。館の記録では、ポプラ材の板に描かれ、縦17.1センチ、横17.3センチ。所蔵番号はNG213で、第61室に展示されている。1847年に館が購入した。館によれば、この小さな正方形の板は細部まで丹念に描かれ、宝石のような仕上がりは写本の挿絵を思わせる。

画面の読み解き

館の解説によれば、月桂樹の木陰で休む若い兵士スキピオの前に、美徳とその敵である快楽という二人の女性が現れる。美徳は戦いの勝利による名誉と名声と栄光を、甘い香りの髪をなびかせ誘うような目をした快楽は、安らかで穏やかな暮らしを約束する。左の美徳は地味な衣で髪を覆い、学問と武勇のしるしである本と剣をスキピオに差し出す。右の快楽は衣の裾を腰でたくし上げ、ふくらむベールから金髪をのぞかせて、愛を表す花の小枝を差し出している。背後の険しい岩山は美徳の苦しい道を、湖の岸へとなだらかに下る野は快楽の道を表している。

技法・様式

館によれば、本作は、第二次ポエニ戦争を語るシリウス・イタリクス(25〜101年)の叙事詩『ポエニ戦争』の一節にもとづく。この場面がそれまで絵に描かれたことはなく、ラファエロは学識のある友人か注文主にこの題材を教えられたのかもしれない。シリウスの一節は、英雄が美徳と快楽の道のどちらかを選ばなければならなかった「岐路のヘラクレス」の物語をもとにしている。ラファエロは、父ジョヴァンニ・サンティがウルビーノ公フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロの生涯をうたった叙事詩の序でこの伝説を用いていたことから、その物語を知っていたはずで、英雄が眠っているのは父の版だけである。大英博物館にある本作の下絵では、快楽は胸元の開いたより誘惑的な姿に描かれていたが、完成作ではつつましい衣になっている。

来歴

館の来歴によれば、本作は1633年までにローマのシピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿の収集にあり、ボルゲーゼ家に伝わった。1798年12月にウィリアム・ヤング・オトリーが買い、ロンドンで何度か売り立てにかけたのち、画家トマス・ロレンスの手に渡った。その遺産から1833年までにサイクス夫人ヘンリエッタが入手し、トマス・エジャートン師に遺贈され、1847年に館が彼から購入した。

意義

館によれば、ラファエロはこの主題を道徳上の二者択一としてではなく、理想の兵士や騎士がめざすべきあらゆる徳の組み合わせとして描いた。左右対称の構図の中心に立つ月桂樹の常緑の葉は、よき騎士が武勇と学問と愛によって得る不朽の名誉を象徴する。本作は、同じ大きさと様式のコンデ美術館の《三美神》とともに17世紀のボルゲーゼ家の収集に記録されており、2点は一対として構想されたとみられる。館は、勇気、学問、愛という伝統的に男性的な徳と、貞節、美、愛という女性的な徳を組み合わせた2点が、結婚の記念に描かれたのかもしれないとしている。