クレジット方針 収録範囲について お問い合わせ
作品COLLECTION 画家ARTISTS 流派MOVEMENTS 時代PERIODS 所蔵MUSEUMS 様式史HISTORY 用語集GLOSSARY 検索SEARCH

《夢》

Le Rêve
《夢》アンリ・ルソー
Wikimedia Commons / ニューヨーク近代美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
アンリ・ルソー
制作年
1910年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
204.5 × 298.5 cm
時代
20世紀
流派
素朴派

月の光が差す密林に、赤いソファが置かれ、裸の女性が横たわって手を差し伸べている。茂みの奥では楽士が笛を吹き、ライオンや象、鳥や蛇が、その調べに誘われるように姿をのぞかせる。

概要

《夢》(仏: Le Rêve)は、フランスの画家アンリ・ルソーが1910年に描いた油彩画である。縦204.5センチ、横298.5センチの大きなキャンバスで、ニューヨーク近代美術館が所蔵する。月夜の密林に置かれたソファに横たわる裸婦と、笛を吹く楽士、茂みに潜む獣たちを描く。所蔵館によれば、画家の最後の絵で、同館の収集部門の責任者アルフレッド・H・バー・ジュニアは「ルソーの画業の頂点をなす傑作」と呼んだ。同年、パリのアンデパンダン展に出品され、画家はその数か月後に貧困のうちに没した。

画面の読み解き

左端では、赤いソファに裸の女性が横たわり、右へ片腕を差し伸べている。そのまわりには、青や白、薄紅の蓮のような大きな花が咲き、画面を覆う葉は一枚ずつくっきりと描き分けられる。中央の茂みの奥には、縞の腰布を巻いた楽士が立って笛を吹き、その足もとからは2頭のライオンが丸い目でこちらをうかがう。葉陰には象が隠れ、木には橙色の実が実り、白と黄の羽の鳥がとまる。右下の草むらには赤い蛇がうねり、右上の空には白い月が浮かぶ。右下の隅に「Henri Rousseau 1910」の署名がある。

技法・様式

所蔵館によれば、画家は自らこの謎めいた作品を「ソファで眠る女が、森に運ばれた夢を見ながら、魔法使いの楽器の音を聞いている」と説明した。着想の源は、パリの植物園と動物園をかねたジャルダン・デ・プラントへの訪問だった。ルソーの出身地ラヴァルの素朴派・特異芸術美術館(MANAS)によれば、画家は一度も旅をせず、植物園の温室や自然史博物館の展示室、雑誌の挿絵や写真から密林の姿を組み立てた。オランジュリー美術館は、同時代の人々は兵役でメキシコへ行った記憶から描いたと信じていたが、画家自身は1910年、フランスを出たことはないと認めたと記している。

来歴

所蔵館の1954年の報道発表によれば、アンデパンダン展への出品にあたり、画家は、かつて愛したポーランドの女性ヤドヴィガにちなむ詩を絵に添えた。絵は世間から嘲笑されたが、画商アンブロワーズ・ヴォラールが買い取った。1933年にニューヨークの個人収集家が手に入れ、のちに同館の理事ネルソン・A・ロックフェラーが買って、1954年に寄贈した。所蔵番号252.1954。同館はすでに、ルソーの《眠るジプシー女》を所蔵していた。2026年9月時点で展示室には出ていない。

意義

所蔵館によれば、独学の画家だったルソーは、サルバドール・ダリやルネ・マグリットらシュルレアリスムの画家たちの重要な先駆けとなった。彼らもまた、ちぐはぐな組み合わせや夢の像を使って、謎めいた忘れがたい画面を作った。同館の1954年の発表は、生前のルソーはピカソやガートルード・ステインらに重要な画家と認められながら、世間では嘲笑されていたと述べている。