《聖母の誕生》
- 作者
- バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
- 制作年
- 1660年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 179 × 349 cm
- 所蔵
- ルーヴル美術館 (MI 202)
- 時代
- バロック・ロココ
- 流派
- スペイン・バロック絵画
横長の画面の中央で、女性たちが生まれたばかりのマリアを抱いてのぞき込む。上の雲間には天使たちが舞い、手前では幼い天使と小犬が籠のそばにいる。左奥の暗がりの寝台には、聖アンナが横たわる。
概要
《聖母の誕生》(仏: Naissance de la Vierge)は、スペインの画家バルトロメ・エステバン・ムリーリョが1660年ごろに描いた油彩画である。縦179センチ、横349センチの上部がアーチ形の横長の画面で、パリのルーヴル美術館が所蔵する。所蔵館によれば、1660年にセビーリャ大聖堂のコンセプシオン・グランデ礼拝堂のために描かれた。日本語版ウィキペディアによれば、横に長い変わった形は、もと聖具室だった壁龕の上のティンパヌムに掛けられていたためで、聖母の誕生という主題は、この礼拝堂がささげられた無原罪の御宿りの神秘と直接に結びついている。
画面の読み解き
日本語版ウィキペディアによれば、画家はアンダルシアの日常の暮らしをもとにこの場面を描いた。天使たちの存在と聖母の光輪を除けば、宗教的な主題であることを示す手がかりはない。構図と光の焦点は生まれたばかりのマリアで、画面で最も明るい幼子を中心に、ほかの人物すべてが周りに配される。女性たちは、すでに聖なる光に祝福されたマリアを愛おしげに見つめ、スペインのどこにでもいるような女性として描かれている。幼子は赤ん坊らしい仕草で手を上げながらも、厳かさを漂わせる。左の背景では、出産に疲れた聖アンナが寝台に横たわり、周りの闇のなかで光に照らされている。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。日本語版ウィキペディアによれば、ムリーリョの作風は1650年代後半のマドリード旅行を機に急速に展開し、王室の収集で見たヴェネツィア派やフランドル派の明るい空間を取り入れた。本作はその転換点に位置し、以後10年ほど続く「暖かい様式」をよく示す。低い視点の対角線の構図、穏やかで効果的な光、神秘的な明暗と靄のように淡い色、ぼかした輪郭は、レンブラントを思わせる。
来歴
所蔵館によれば、1810年8月18日付の手紙で、セビーリャ大聖堂の参事会長フアン・デ・プラダスからスールト元帥に贈られた。フランス占領下で、ジョゼフ・ボナパルト王と大聖堂の聖職者が争い、元帥が参事会の側に立ったことを背景とする「贈り物」だった。元帥はこれをパリの邸宅に置き、1836年に修復させた。1852年の元帥の没後の売り立てでは息子が買い戻し、1858年7月、スールト家の相続人が国への負債の返済として、ほかの4点とともに国に譲った。同年10月にルーヴル美術館に割り当てられた。所蔵番号はMI 202。現在はドノン翼の718室に展示されている。
意義
日本語版ウィキペディアによれば、本作はムリーリョの作品の中でも最も重要なものの一つである。聖なる出来事を身近な家庭の情景として描き、庶民に愛された画家の親しみやすさをよく伝えている。