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《タヒチの女たち》

Femmes de Tahiti
《タヒチの女たち》ポール・ゴーギャン
Wikimedia Commons / オルセー美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ポール・ゴーギャン
制作年
1891年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
69 × 91.5 cm
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砂浜に二人の女が座る。左は白い上衣に赤い花柄のパレオ、右は襟の詰まった淡紅色のドレス。ゴーギャンがタヒチに着いて半年ほどのあいだに描き、島の暮らしと外から持ち込まれたものが並ぶ姿をそのまま画面にした。

概要

《タヒチの女たち》(仏: Femmes de Tahiti、別題 Sur la plage)は、ポール・ゴーギャンが1891年の11月から12月にかけて描いた油彩画である。縦69センチ、横91.5センチ。パリのオルセー美術館が所蔵する。同年6月にタヒチへ着いたばかりの時期の作で、ポスト印象派の画家が南太平洋で得た主題と、それ以前に練り上げた総合主義の手法が重なった一点である。

画面の読み解き

左の女は横を向いて砂に手をつき、白い上衣に赤い地へ白い花を散らしたパレオを巻く。髪には黄色いリボンと白い花。右の女は正面を向いて足を折り、襟から手首まで覆う淡紅色の長いドレスを着て、手元で繊維をより合わせている。この服は宣教師がもたらした「ミッション・ドレス」で、島の衣と外来の衣が一つの画面に並ぶ。砂の上には白い花、編みかけの草、小さな箱が置かれる。背後には砂浜、濃い青の水、緑の帯、白い波頭の走る暗い海が横に重なり、画面は水平の層でできている。右下に「P Gauguin 91」の署名がある。

技法・様式

陰影をほとんど使わず、輪郭線で囲んだ色面を平らに置いて形をつくる。横顔と正面という向きの違う二人を並べ、腕と背の曲線が繰り返されて、画面は帯状の装飾のように読める。奥行きは前後の重なりだけで示され、水平の帯が遠近の代わりを務める。人物の顔は個人の似姿ではなく、面のように整理されている。マネから学んだ単純化が、タヒチの色と結びついた形といえる。翌1892年には、同じ構図を組み替えた《パラウ・アピ》が描かれた。

来歴

ゴーギャンはこの絵をタヒチで知り合ったアルノー船長に贈り、その娘が1920年まで手元に置いた。1920年から1923年まではギー・ド・ショレ子爵の所有となる。1923年にヴィタリ伯爵夫人の寄贈でフランス国家に入り、リュクサンブール美術館とルーヴル美術館、1947年からはジュ・ド・ポーム美術館に置かれた。1986年のオルセー美術館の開館とともに同館へ移されている。所蔵番号RF 2765。

意義

ヨーロッパの物質主義から逃れ、手つかずの楽園を求めて渡ったゴーギャンが見たのは、すでに植民地化され宣教師の衣服が入り込んだ島だった。本作はその現実を、理想化も告発もせずに並置している。平らな色面と装飾的な構成は、1906年の回顧展を通じてマティスら次の世代へ渡った。一方で、タヒチ滞在中の画家自身の振る舞いについては、今日あらためて問われている。