《凸面鏡の自画像》
- 作者
- パルミジャニーノ
- 制作年
- 1523–1524年
- 素材
- 凸面の板 / 油絵具
- 寸法
- 24.4 × 24.4 cm
- 所蔵
- ウィーン美術史美術館
- 時代
- ルネサンス
- 流派
- マニエリスム
丸い画面の中で、肩までの髪の若者が静かにこちらを見る。毛皮の縁の黒い上着に白いひだ襟をのぞかせ、手前には鏡の歪みで大きくふくらんだ手が置かれる。背後の部屋の天井と窓は弓なりに曲がる。
概要
《凸面鏡の自画像》は、パルマ出身の画家パルミジャニーノが1523年から1524年頃に描いた油彩の自画像で、ウィーン美術史美術館が所蔵する。館の記録では直径24.4センチの円形の作品で、丸くふくらんだ木の板に描かれた板絵である。所蔵番号はGG 286で、館の絵画館の第3室に展示されている。
画面の読み解き
館の解説によれば、画家は凸面鏡に映った自分の姿を描いている。手前に大きく描かれた画家の手は、右手に見えるが実は左手で、鏡の歪みによって不思議なほど大きくなっている。一方で、画家は自分の頭部を凸面鏡の光学的な効果から外して描いた。背後のがらんとしたアトリエは、当時すでに古風になっていた理容師の鏡に映った姿として描かれている。画面の右端には金色の額がのぞき、それは画家の画架の上で今まさに制作中の作品の一部である。ヴァザーリは1568年の『芸術家列伝』で、パルミジャニーノを「人というより天使のよう」と書いたが、21歳の画家はまさにそのように自らを見る者の前に示している。
技法・様式
館によれば、パルミジャニーノは16世紀前半の北イタリアで最も進取の気性に富んだ画家の一人とされ、その作品はルネサンスからマニエリスムへの移り変わりを示している。繊細で奇抜な形の言葉は、1600年頃のプラハのルドルフ2世の宮廷の美術にまで影響を残した。小さな画面と控えめな色にもかかわらず、着想は機知に富み、志は高い。「鏡か絵か」という目くらましの遊びは、欺きと幻影という近代の絵画の本質を突いていると館は述べる。
来歴
館によれば、1524年の夏、ローマに着いた若い画家は、ほかの小さな2点の作品とともにこの自画像を教皇クレメンス7世に献じ、大きな注文を得ようとした。その試みは実らなかったが、この珍しい肖像は16世紀にはすでに画家の才能の証として広く知られていた。教皇からピエトロ・アレティーノに贈られ、のちに彫刻家ヴァレリオ・ベッリとその子エリオの手に渡った。1560年に建築家アンドレア・パラディオが彫刻家アレッサンドロ・ヴィットリアに売り、1608年にヴィットリアの遺贈で皇帝ルドルフ2世のコレクションに入った。
意義
館によれば、本作は名だたる所有者の手を経て伝わり、画家の才能を早くから示した作品である。若い画家の野心と、鏡と絵の関係をめぐる機知とをともに伝える作品として、16世紀から注目されてきた。