《座る裸婦》
- 作者
- アメデオ・モディリアーニ
- 制作年
- 1917年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 114.5 × 71.5 cm
- 所蔵
- アントワープ王立美術館 (ベルギー政府からの寄託(1927年))
- 時代
- 20世紀
暗い背景の前で、裸の女が寝台に腰かけ、首を傾けて横目にこちらを見る。オレンジがかった桃色の体だけが明るく浮かび、腰には白い布がかかり、左下には青い洗面器がのぞく。
概要
《座る裸婦》(蘭: Zittend naakt)は、イタリア出身の画家アメデオ・モディリアーニが1917年に描いた油彩画である。縦114.5センチ、横71.5センチのキャンバスで、アントワープ王立美術館にベルギー政府から寄託されている。画家が1916年から1919年にかけて描いた裸婦の連作の一枚で、エコール・ド・パリの時代の作である。
画面の読み解き
所蔵館によれば、モディリアーニの裸婦には、あからさまに官能的な姿勢で横たわる女性と、本作のように、いくぶん控えめで体を覆った座る女性とがある。この女性は化粧をしているところで、手ぬぐいと洗面器がそれを示している。オレンジがかった桃色の温かな体は、暗い黄土色の広がりを背に、ただ一つ光を受けて浮かび上がる。女性は首を傾け、アーモンド形の目で横を見やる。両腕を下ろして寝台に手をつき、腰から腿に白い布がかかる。左下には青い洗面器がのぞく。右上には「modigliani」の署名がある。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、画家の作品は、柱のように長い首、卵形の頭、長い鼻、唇を結んだ小さな口、モデルの謎を深めるアーモンド形の目のうつろなまなざしといった、引き伸ばされ単純化された形を特徴とする。様式の上では、本作は首がやや短く、頭も卵形にはなりきらない、いくらか抑えた女性像である。人物の形式ばった曲線の優美さはイタリア・ルネサンスの裸婦を思わせ、彫刻の試みが、アンリ・マティスの作品のような記念碑的な量感を肖像に与えた。
来歴
所蔵館によれば、1916年から1919年の裸婦の連作は、親友で後援者、画商でもあったレオポルド・ズボロフスキの依頼で描かれた。画家は職業モデルや娼婦を描き、1917年からは伴侶ジャンヌ・エビュテルヌもたびたびモデルになった。本作は1917年のズボロフスキの依頼による。1926年にベルギー政府が購入し、1927年から所蔵館に寄託されている。購入のとき、近代美術の雑誌『セレクシオン』は「モディリアーニの最も成功した作の一つとはいえない……が、モディリアーニがまったく無いよりはましだ」と辛口に評した。所蔵番号は2060。
意義
所蔵館によれば、モディリアーニの絵は伝統と近代の中間にある。同時代のパリでキュビスムは避けて通れなかったが、画家は古典的な美の観念を捨てなかった。トゥールーズ=ロートレックのなめらかな線、ムンクの幻のような人物と表現的な筆づかい、セザンヌやゴーギャンの色と幾何学的な形の総合を吸収した。早すぎる死や酒と薬の問題にもまして、永遠の裸婦と官能をめぐる伝説が、画家をファン・ゴッホと並ぶ最も神話化された近代の芸術家にした。