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《ヴァリーの肖像》

Bildnis Wally Neuzil
《ヴァリーの肖像》エゴン・シーレ
Wikimedia Commons / レオポルド美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
エゴン・シーレ
制作年
1912年
素材
板 / 油絵具
寸法
32 × 39.8 cm
時代
20世紀
流派
表現主義
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首をかしげた若い女が、大きな青い目でこちらを見上げている。赤みがかった髪、白いレースの襟、黒い服。背景の白い地には、枝から垂れる赤い実が描かれている。

概要

《ヴァリーの肖像》(独: Bildnis Wally Neuzil)は、エゴン・シーレが1912年に描いた油彩画である。板絵で、縦32センチ、横39.8センチ。ウィーンのレオポルド美術館が所蔵する。1911年から4年ほどシーレの恋人でありモデルでもあったヴァリー・ノイツィルを描き、同じ年の《ほおずきの実のある自画像》と対をなす。表現主義の肖像を代表する一点である。

画面の読み解き

女は首を画面の左へ大きくかしげ、上目づかいにこちらを見つめる。赤みがかった金髪は短く波打ち、見開かれた青い目が顔の中でひときわ大きい。頬と唇には赤みが差す。首もとには白いレースの襟が広がり、その下の黒い服が画面の下半分を埋める。左上では髪の後ろに赤い布と灰色の面がのぞき、右端には茶色の葉をつけた枝から赤い実が垂れる。右下には緑や赤、青の模様の布が置かれている。左下に「EGON SCHIELE 1912」の署名がある。

技法・様式

背景の白い地は、太い筆で絵具をこすりつけるように塗られ、筆の跡がそのまま残る。人物の輪郭は硬く、顔や襟は固い色面の組み合わせとして組み立てられている。所蔵館は、幾何学的な基本形と調和のとれた色によって、緊張と静けさの釣り合いを取っていると解説する。首の傾きと斜めに走る枝が画面に動きを与え、対の自画像と並べることを前提に構成された作品とされる。

来歴

ウィーンのユダヤ系の美術商レア・ボンディ・ヤライの所有だったが、1938年、画商フリードリヒ・ヴェルツに不当に取り上げられた。戦後はザルツブルクの州立美術館、ハインリヒ・リーガーの遺族の手を経て1950年にベルヴェデーレへ入り、1954年にルドルフ・レオポルドが取得、1994年にレオポルド美術館の財団へ移った。1997年10月から翌年1月までニューヨーク近代美術館の展覧会に貸し出された際、ナチスによる略奪品として差し押さえられ、以後12年にわたる訴訟となる。2010年7月、美術館がボンディ・ヤライの遺族に1900万ドルを支払うことで和解し、同年8月にウィーンへ戻った。所蔵番号453。

意義

ヴァリー・ノイツィルは、1912年にシーレが逮捕されたあいだも彼を支え、多くの素描と油彩のモデルとなった。しかし1915年、シーレはエーディト・ハルムスとの結婚を選び、二人は別れる。ヴァリーは従軍看護師となり、1917年12月25日にダルマチアで猩紅熱のため没した。本作は画家のもっとも親密な時期を伝える小さな肖像であると同時に、ナチス期に奪われた美術品の返還をめぐる議論を象徴する作品ともなった。