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《バルダッサーレ・カスティリオーネの肖像》

Ritratto di Baldassarre Castiglione
《バルダッサーレ・カスティリオーネの肖像》ラファエロ・サンティ
Wikimedia Commons / ルーヴル美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ラファエロ・サンティ
制作年
1514–1515年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
82 × 67 cm
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黒いベレー帽をかぶり、灰色の毛皮を袖に巻いた男が、胸の前で手を組み、青い目でこちらを静かに見つめる。背景は灰色の無地で、やわらかな光が顔と白いシャツを照らす。

概要

《バルダッサーレ・カスティリオーネの肖像》(伊: Ritratto di Baldassarre Castiglione)は、ラファエロ・サンティが描いた油彩画である。縦82センチ、横67センチ。パリのルーヴル美術館が所蔵し、館は1514年から1515年頃の作とする。モデルは、イタリアの作家で外交官のバルダッサーレ・カスティリオーネ(1478〜1529年)である。『ブリタニカ百科事典』によれば、マントヴァ近郊のカザーティコに生まれ、1528年にヴェネツィアのアルド社から刊行された対話篇『宮廷人』で知られる。ローマで活動していた盛期ルネサンスの画家ラファエロが、友人を描いた肖像画である。

画面の読み解き

灰色がかった無地の背景の前で、男が体を斜めに向けて座り、顔だけをこちらに向ける。切れ込みの入った黒いベレー帽の下で、青い目が見る者をまっすぐにとらえ、帽子の横には小さな金色の飾りが留められている。豊かな茶色のひげをたくわえ、黒い上着の胸元からは、ひだを寄せた白いシャツがのぞく。袖には灰色の毛皮がたっぷりと巻かれ、画面の下の端では両手が軽く組み合わされている。光は左から差して顔とシャツ、毛皮を照らし、背景の右側には人物の影がうっすらと落ちる。色は黒と灰色、白、肌の色にほぼ限られ、画面のところどころに画布の織り目がのぞく。

技法・様式

2022年にロンドン・ナショナル・ギャラリーで開かれた展覧会「ラファエロ」は、晩年のラファエロは多忙で、政治的な事情がない限り肖像画の注文を受けず、描いた肖像は友情や愛情から生まれたものが多いとして、その最たる例に本作を挙げた。同展は本作を1519年の作としており、ルーヴル美術館の年代とは異なる。飾り気のない背景と抑えた色の中で、モデルの落ち着いた表情と、毛皮や布の手ざわりが際立つ。

来歴

ルーヴル美術館によれば、本作はマントヴァのカスティリオーネ家に伝わり、ウルビーノ公フランチェスコ・マリア・デッラ・ローヴェレ、トスカーナ大公妃ヴィットリア・デッラ・ローヴェレを経て、1631年までにアムステルダムのルーカス・ファン・ウフェレンの手に渡った。英国王室コレクションによれば、1639年のファン・ウフェレンの売り立てでアルフォンソ・ロペスが買い、のちにマザラン枢機卿に売った。本作は1661年のマザランの財産目録に記され、1665年にルイ14世がマザランの相続人から手に入れた。所蔵番号INV 611。ドノン翼第712室のグランド・ギャラリーに展示されている。

意義

1639年の売り立ての場では、レンブラントが本作をペンで素早く写し、落札の値段などを書き添えた。その素描はウィーンのアルベルティーナ美術館に残る。ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、翌1640年のレンブラントの《34歳の自画像》の姿勢と色が、画家が前年に見て素描したラファエロの肖像に似ていると指摘する。ルーベンスも1630年頃に本作の模写を描いており、ロンドンのコートールド美術館は、それを原作への敬意であると同時に、ラファエロとの競い合いでもあったとみる。一人の友人を描いたこの肖像は、のちの画家たちが肖像画の手本として繰り返し立ち返る作品となった。