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《女性の肖像》

《女性の肖像》ロヒール・ファン・デル・ウェイデン
Wikimedia Commons / ワシントン・ナショナル・ギャラリー / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ロヒール・ファン・デル・ウェイデン
制作年
1460年
素材
オーク・パネル / 油絵具
寸法
34 × 25.5 cm
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暗い青緑の背景の前で、透ける薄いヴェールをかぶった若い女性が斜めを向き、目を伏せる。毛皮で縁取った黒い衣に赤い帯を締め、画面の下端で両手の指を固く組んでいる。

概要

《女性の肖像》は、初期フランドル派の画家ロヒール・ファン・デル・ウェイデンが1460年頃に描いた板絵の肖像画である。画面は縦34センチ、横25.5センチ。名の伝わらない若い女性の半身像で、ワシントンのワシントン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する。館は、画家の晩年の肖像に特有の、洗練された抽象的な優美さをよく示す作品とする。

画面の読み解き

館の解説によれば、モデルは特定されていないが、自らを律した気品ある物腰から貴族の女性と考えられる。衣装や、抜いた眉と剃り上げた生え際は、ブルゴーニュ宮廷の身分の高い女性たちの流行に合っている。豪華な衣も顔と張り合うことはない。黒い毛皮の縁取りは背景に溶け込み、高く広がる頭飾りが顔を縁取って視線を集める。柔らかな光が透けるヴェールのひだをなぞり、穏やかな陰影が骨格をかたちづくる。全体は抑えて描かれるが、帯の留め金の金線細工だけは緻密に描き込まれ、赤い帯が組み合わせた手を引き立てる。伏せた目、固く結んだ唇、こわばった指は、内面の集中を伝える。

技法・様式

オーク材の1枚板に油彩で描かれ、四辺には描かれていない余白が残る。館の技術の記述によれば、赤外線反射撮影で見える下描きはごくわずかで、背景の絵具が帯の両脇に入り込んでいることから、人物は当初いまよりさらに細身だった。日本語版ウィキペディアによれば、ヴェールのつくる菱形の線と胸元のV字の線が釣り合い、両手のつくる三角形がヴェール上部の三角形に呼応する。ロンドン・ナショナル・ギャラリーには、似た衣装の女性を描いた工房作の《婦人の肖像》がある。

来歴

館の来歴によれば、おそらくアンハルト侯レオポルト・フリードリヒ・フランツ(1817年没)が、デッサウ近郊のヴェルリッツの「ゴシックの家」に所蔵していた。その後もアンハルト公家に伝わり、1902年にはブルッヘの初期フランドル派展に出品された。1925年にハーグのバッハシュティッツ画廊を通じてデュヴィーン・ブラザーズに売られ、1926年12月にアンドリュー・W・メロンが購入した。1932年にメロンの教育慈善信託に移り、1937年に館へ贈られた。現在は西館の第39室に展示されている。所蔵番号は1937.1.44。

意義

館の解説は、画家が人の個性をとらえることで名高かったとし、本作では内面の強さを、厳しく統御された構図と型にはまった姿勢や衣装に釣り合わせ、張りつめた抑制の美を生んでいると述べる。日本語版ウィキペディアによれば、20世紀初めにヴィルヘルム・シュタインがブルゴーニュ公フィリップ善良公の庶子マリーと推定したが、広くは受け入れられていない。夫を描いた対の肖像があった可能性も指摘されるが、見つかっていない。