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《リアルト橋での聖十字架残骸の奇跡》

Miracolo della reliquia della Santa Croce al ponte di Rialto
《リアルト橋での聖十字架残骸の奇跡》ヴィットーレ・カルパッチョ
The Yorck Project / アカデミア美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ヴィットーレ・カルパッチョ
制作年
1496年
素材
キャンバス / テンペラ
寸法
371 × 392 cm
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大運河に架かる木造のリアルト橋の手前で、左の建物の二階の柱廊に聖職者たちが集まる。岸辺には着飾った人々がひしめき、運河には色とりどりの服の船頭がゴンドラを漕ぐ。家々の屋根には漏斗の形の煙突が並ぶ。

概要

《リアルト橋での聖十字架残骸の奇跡》は、ヴェネツィアの画家ヴィットーレ・カルパッチョが1496年に描いた大きなカンヴァス画(テレーロ)で、ヴェネツィアのアカデミア美術館が所蔵する。館の記録では縦371センチ、横392センチのカンヴァスで、目録番号は566、第XX室に展示されている。館の題は「リアルト橋での聖十字架の聖遺物の奇跡」。もとはサン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ同信会の建物を飾っていた連作の一枚で、19世紀初めにナポレオンの命で多くの宗教施設が廃止されたのに伴い、1820年に館に入った。

画面の読み解き

館の解説によれば、大運河に面した柱廊の下で、グラードの総大司教フランチェスコ・クエリーニが、悪霊に取りつかれた男を奇跡によって癒やしている。この奇跡は、同信会がキプロス王国の大書記官フィリップ・ド・メジエールから贈られた聖十字架の聖遺物によってもたらされたものである。奇跡の場面は画面の端に追いやられ、その分、町の姿と、そこで営まれるにぎやかな暮らしに広い場所が与えられている。画面の左上、二階の柱廊には白い衣の聖職者や同信会の人々が集まり、下の岸辺には赤や黒の長衣の男たちがひしめく。大運河にはゴンドラが行き交い、派手な服の船頭たちが櫂を操る。家々の屋根には漏斗の形をしたヴェネツィア特有の煙突が立ち並び、奥には鐘楼がそびえる。

技法・様式

館によれば、本作は、聖十字架の聖遺物が起こした奇跡を描いた連作「聖十字架の物語」の一枚である。連作は、1490年代半ばからおよそ10年をかけて、ラッザロ・バスティアーニ、カルパッチョ、ジョヴァンニ・マンスエーティ、ベネデット・ディアーナ、そして当時最も重要な物語画家と認められ、3点を描いたジェンティーレ・ベッリーニによって制作された。連作の最大の特徴は、奇跡の舞台を、サン・マルコ広場やリアルト橋のような町を代表する場所や、同信会の建物にゆかりのある場所に置いたことにある。それは、奇跡が起きた場所を正確に描くことで、奇跡が本当に起きたと人々に信じさせる効果的な伝え方だったと館は述べる。

来歴

館によれば、連作は、かつてコンスタンティノープル総大司教が所有し、1369年にフィリップ・ド・メジエールが同信会に寄進した聖十字架の聖遺物を納めていた部屋の壁を飾っていた。描かれた奇跡の場面は、1590年に同信会の長ジャコモ・デ・メルツィが著した『いとも聖なる十字架の奇跡』という小冊子によって読み解かれ、各作品の作者や描かれた出来事、制作の年が分かっている。イタリア人名事典(1977年、F. R. ペゼンティ)は、本作の制作を1495年頃としている。

意義

館の解説によれば、本作は、1458年に木造で架けられ、船を通すために中央が開閉する仕掛けを備えていた、かつてのリアルト橋を伝える数少ない記録である。画面では、橋の中央の開閉する部分の両側に手すりが設けられ、その上を多くの人が行き交う。奇跡を脇に置き、町の場所とそこに生きる人々を正確に描くことで出来事の真実味を高めるという連作のねらいを、カルパッチョは本作で、町を代表する場所であるリアルト橋と大運河の情景によって果たしている。