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《謙譲の聖母》

Virgen de la Humildad
《謙譲の聖母》フラ・アンジェリコ
Wikimedia Commons / カタルーニャ国立美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
フラ・アンジェリコ
制作年
1425年
素材
板 / テンペラ・金箔
寸法
98.6 × 49.2 cm
所蔵
カタルーニャ国立美術館 (ティッセン=ボルネミッサ美術館の所蔵(ティッセン=ボルネミッサ・コレクション)。2004年から寄託)
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上端が半円の画面に、三人の天使が金と黒の豪華な布を掲げ、その前に青い外衣の聖母が座る。聖母は百合と薔薇を挿した金の壺を持ち、膝に立つ幼子が頬を寄せる。足もとでは二人の天使がオルガンとリュートを奏でる。

概要

《謙譲の聖母》は、フィレンツェの画家フラ・アンジェリコが描いた板絵の祭壇画で、マドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館のコレクションに属し、2004年からバルセロナのカタルーニャ国立美術館に寄託されて展示されている。所有するティッセン=ボルネミッサ美術館の記録では、板にテンペラで、縦98.6センチ、横49.2センチ。制作年について、カタルーニャ国立美術館は1433年から1435年頃とし、ティッセン=ボルネミッサ美術館は新しい研究をふまえて1425年頃としている。同館は本作を、ティッセン・コレクションの傑作の一つと呼ぶ。

画面の読み解き

カタルーニャ国立美術館の解説によれば、聖母は膝の上に幼子を立たせて座り、母性と純潔の象徴である薔薇と百合を挿した壺を手にしている。百合を持つ幼子は、母の頬に額を寄せる。聖母子の背後には、三人の天使が豪華な布を掲げ、さらに二人の天使が床に座ってオルガンとリュートを奏でている。日本語版ウィキペディアによれば、「謙譲の聖母」は14世紀のシエナで生まれた図像で、高い玉座から見下ろす「荘厳の聖母」と違い、聖母が地面すれすれの低い座に座ることで、慎ましさと母性を強く印象づける。画面の上端は半円形で、聖母の頭上には大きな金の光輪が刻まれている。

技法・様式

カタルーニャ国立美術館は、記念碑的な人物、衣の華やかさ、移ろう光、色の使い方が、本作を15世紀イタリアの最も純粋な様式に位置づけるとしている。ティッセン=ボルネミッサ美術館の2021年の報道資料によれば、本作はフラ・アンジェリコの円熟期の初めにあたり、聖母の純潔を表す百合や、キリストの受難を暗示する赤と白の薔薇など、多くの象徴を含む。前の世紀に典型的な正面性と金の多用に対して、画家はクアトロチェント(15世紀)の新しさである光と色の幅を用い、衣のひだに量感を与えるために表面に線を刻み込むといった、他の作品で試みていた新しい技法も使っている。

来歴

カタルーニャ国立美術館によれば、本作は、ジョルジョ・ヴァザーリが1568年にフィレンツェのゴンディ家の邸で記した、フラ・アンジェリコ作とされる三連祭壇画の一部と同定されている。ティッセン=ボルネミッサ美術館の報道資料によれば、のちにベルギー国王レオポルド1世の収集に入り、1909年から1935年まではニューヨークのピアポント・モルガンの収集にあった。1935年にハンス・ハインリヒ・ティッセン=ボルネミッサ男爵の父ハインリヒが購入し、その死後は娘のマルギット・バッチャーニ伯爵夫人が相続した。男爵は1986年に彼女から本作を手に入れている。

意義

ティッセン=ボルネミッサ美術館は、2022年12月19日から2023年12月12日まで、修復を終えた本作をマドリードの常設展示の第11室で特別に公開した。修復に先立って、エックス線写真や赤外線反射写真、化学分析による技術調査が行われ、フラ・アンジェリコの制作の手順が明らかにされた。展示ののち、本作はふだん展示されているカタルーニャ国立美術館に戻った。マドリードでの公開は、2006年、2009年、2021年に続くものだった。