《パリジェンヌ》
- 作者
- ピエール=オーギュスト・ルノワール
- 制作年
- 1874年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 163.2 × 108.3 cm
- 所蔵
- カーディフ国立博物館
- 時代
- 写実・印象派
- 流派
- 印象派
青緑にけむる背景の前に、青いドレスの若い女性が全身で立つ。小さな帽子をかぶり、胸もとには青いリボン、腰の後ろには大きくふくらんだ襞が流れる。手袋をはめた両手を腰の前で重ね、こちらを見る。
概要
《パリジェンヌ》は、ピエール=オーギュスト・ルノワールが1874年に描いた油彩の肖像画で、ウェールズのカーディフ国立博物館が所蔵する。青いドレスから《青衣の女》とも呼ばれ、館では「ブルー・レディ」の愛称で親しまれている。館の記録では、キャンバスに油彩で、縦163.2センチ、横108.3センチ(額込みで縦198.2センチ、横142.5センチ)。所蔵番号はNMW A 2495で、館の第12室に展示されている。左下に「A. Renoir. 74.」の署名と年記がある。
画面の読み解き
館の解説によれば、モデルは1863年から1868年までパリのオデオン座に出ていた女優アンリエット・アンリオ夫人で、ルノワールはたびたび彼女をモデルにした。画家は《パリジェンヌ(パリの女)》という題をつけることで、特定の個人ではなく、一つの型を表したことを示した。館の学習資料によれば、女性は全身を青いドレスに包んで立ち、わずかに右を向いて、腰の前で両手を重ねている。手袋を外そうとしているのか、はめようとしているのかもしれない。そろいのボンネットや首まわりのリボンと襞飾りといった細部には、仕立屋だった父の経験が表れているのかもしれないという。
技法・様式
館の学習資料によれば、ルノワールはこの絵で細部を一つひとつ描き込もうとはしていない。筆づかいは途切れがちで、とくにドレスのひだでは線がはっきりしない。背景はかすかな影のほかは色のもやで、見る人の注意は、女性の顔や服、姿勢に向けられる。当時の多くの画家が暗い色で細密な写実の絵を描いたのに対し、印象派の画家たちは、すばやい筆づかいと明るい色で、光と動きの効果をとらえようとした。批評家たちは、その明るい色や正確さの欠如をよく思わず、雑で派手すぎると考えたという。
来歴
館の解説によれば、本作はドガの友人アンリ・ルアールの名高い収集にあり、そこで画家ポール・シニャックらにも賞賛された。1913年に、ウェールズの収集家グウェンドリン・デイヴィスが購入した。館によれば、デイヴィス姉妹は1908年ごろから美術品を集め、1924年までに国内で最も重要なフランス印象派・後期印象派の収集を築き、1951年と1963年に合わせて260点を館に遺贈した。本作の受け入れの記録は1952年の遺贈である。
意義
館の解説によれば、本作は1874年の第1回印象派展に出品された。日本語版ウィキペディアによれば、ルノワールはこの展覧会に、《桟敷席》や《踊り子》とともに7点を出した。館は当時の批評家の評も紹介している。「ブーツの爪先はほとんど見えず、小さな黒いねずみのようにのぞいている。帽子は片耳の上に傾き、大胆に色っぽい……ドレスは見事に描かれていて、天上の青だ」。2024年、本作は第1回印象派展から150年を記念する展覧会のために、パリのオルセー美術館とワシントン・ナショナル・ギャラリーに貸し出された。館は、ウェールズを離れることがまれな、最も人気のある絵の一つだとしている。