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《ヴィーナス》

Venus
《ヴィーナス》フランソワ・ブーシェ
Wikimedia Commons / ウォレス・コレクション / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
フランソワ・ブーシェ (工房)
制作年
1760年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
79.2 × 138.7 cm
流派
ロココ

緑の波の上に、薄い布をまとっただけのヴィーナスが身を横たえ、胸に手を寄せてうつむく。左ではイルカが口を開け、松明を掲げる幼子と、白い鳩を抱く幼子が女神に寄り添う。

概要

《ヴィーナス》は、フランスの画家フランソワ・ブーシェの工房が1760年頃に描いた油彩の神話画で、ロンドンのウォレス・コレクションが所蔵する。館の記録では縦79.2センチ、横138.7センチのキャンバスで、館の楕円の客間に展示されている。館の登録上の作者は「フランソワ・ブーシェの工房」で、館は、人物のこわばりと素描の弱さから、主にブーシェの工房が手がけたとみている。

画面の読み解き

館の解説によれば、ギリシアの詩人ヘシオドスは、ヴィーナスが、切り落とされたウラノスの性器が海に投げ込まれてできた泡から生まれたと語る。女神は帆立貝に乗り、イルカに伴われて岸に着いた。画面にもそのイルカが描かれている。女神は薄い布だけをまとって緑の波の上に身を横たえ、胸に手を寄せてうつむく。そのそばでは、松明を掲げる幼子と、白い鳩を抱く幼子が寄り添う。

技法・様式

館によれば、本作はもともと上下の縁が曲線になっており、扉の上を飾る装飾画として描かれたことが分かる。のちに長方形に仕立て直された。同じ館の《ヴィーナスとクピド》(P411)と対をなし、同じ部屋を飾っていたとみられる。

来歴

館によれば、画面には「Boucher / 1754」の署名と年記があったが、1987年の修復の際に後から加えられたものとして取り除かれた。本作はそれより後に描かれたと考えられている。おそらくリチャード・ウォレス卿が入手した。所蔵番号はP423。

意義

館の画家解説によれば、ブーシェはカルル・ヴァンローと並んで18世紀半ばのフランスで最も重要な歴史画家であり、装飾美術に最も強い影響を与えた画家でもあって、数多くの扉上の装飾画を手がけた。本作は、その工房が手がけた装飾画の一点である。