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《エルサレム》

《エルサレム》ジャン=レオン・ジェローム
Wikimedia Commons / オルセー美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ジャン=レオン・ジェローム
制作年
1867年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
82 × 144.5 cm
所蔵
オルセー美術館 (RF 1990 7)
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嵐の雲が垂れこめる空の下、白い岩の丘からエルサレムの町が見渡せる。右手前の地面には三本の十字架の長い影が落ち、左の坂道では槍や旗を持った兵士と人々が町へ引き返していく。

概要

《エルサレム》は、フランスの画家ジャン=レオン・ジェロームが1867年に描いた油彩画で、パリのオルセー美術館が所蔵する。縦82センチ、横144.5センチの横長のキャンバスで、左下に「J.L. GEROME」と署名がある。所蔵館は《ゴルゴタ、すべてこと終われり(Consummatum est)》《磔刑》の別題も記している。キリストの磔刑を、十字架そのものではなく、その影によって表した宗教画である。

画面の読み解き

暗い嵐の雲が空を覆い、白い岩の丘の向こうに、城壁に囲まれたエルサレムの町が広がる。右手前の地面には、画面の外に立つ三本の十字架の長い影が落ちている。左の坂道では、槍や旗を掲げた兵士や人々が、刑場をあとにして町へ戻っていく。所蔵館によれば、嵐の空の光が投げかける三本の十字架の影は、視覚的な省略として働き、この主題の伝統的な図像と大きく決別している。

技法・様式

所蔵館によれば、異国的で官能的なオリエンタリスムの主題で成功を重ねたジェロームは、1867年に本来の志である歴史画に戻り、衰えつつあった分野を一新した。彼は、中東への複数の旅とその一つである聖地への滞在をもとに、考古学的・地誌的な正確さを求めてこの主題に取り組んだ。古典の伝統どおり風景は劇の一部を担い、さらに映画が生まれる前に、画面の外を感じさせる映画の手法に近いものが取り入れられている。

来歴

所蔵館によれば、本作は画商グーピル商会を経て、1871年にニューヨークのノードラー、1873年頃にハリー・N・スミスの収集に入り、その後もアメリカの収集家たちの手を渡った。1990年3月1日のニューヨークのクリスティーズの競売に出て、国立美術館が購入し、オルセー美術館に配属された。1868年のサロンに出品され、1999年の神戸と東京、2014年の東京など、日本の展覧会にも来ている。

意義

所蔵館によれば、歴史的な厳密さは、エルネスト・ルナンが『イエスの生涯』(1863年)で示した自然主義的なキリスト像とも響き合う。この本は19世紀後半の宗教表現に深い影響を与えた。ジェロームは真実らしさだけでなく、新しい絵画の解決によって宗教画をよみがえらせ、福音書の喚起力を取り戻そうとした。伝統から離れたこの試みは、画家の生涯でもっとも厳しい批判の一部を招いた。