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《桃を持った少女》

Девочка с персиками
《桃を持った少女》ヴァレンティン・セローフ
Wikimedia Commons / トレチャコフ美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ヴァレンティン・セローフ
制作年
1887年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
91 × 85 cm
流派
印象派
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窓から光が差しこむ食堂で、桃色のブラウスの少女がテーブルに着き、手に桃を持ってこちらを見る。黒地に白い水玉の蝶結びに赤い花。白いクロスの上には桃と、色づいたカエデの葉が置かれている。

概要

《桃を持った少女》(露: Девочка с персиками)は、ロシアの画家ヴァレンティン・セローフが1887年に描いた油彩画である。縦91センチ、横85センチのキャンバスで、モスクワのトレチャコフ美術館が所蔵する。所蔵館によれば、若いセローフのこの作品は画家たちのあいだで大評判となり、ロシアにおける印象派の先ぶれとなった。

画面の読み解き

所蔵館によれば、描かれているのは、大実業家で芸術の庇護者だったサッヴァ・マモントフの娘ヴェーラ(1875〜1907)である。少女は食堂のテーブルに着き、手に桃を持ってこちらを見る。どっしりと座る少女の姿に対して、テーブルは斜めに奥へ延び、見る者の目を少し開いた扉の向こうの居間へ導く。少女の背後の窓からはやわらかな光が流れこみ、部屋は暖かな空気に満ちているように感じられる。濃い髪、日に焼けた肌、濃い茶色の目、ブラウスの黒地に白い水玉の蝶結びが、画面を占める桃色と白の色調と対照をなす。テーブルの桃はアブラムツェヴォの温室で育ったもので、カエデの葉とともに過ぎゆく夏を思わせる。壁には鳥と花を藍色で描いた白い陶器の皿が掛かり、少女の後ろには木彫りのくるみ割り人形の兵隊が立つ。右下に「Серов 87」の署名と年記がある。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、顔はこのうえなく繊細に描かれる一方、背景の細部や指、手前の静物はすばやく大づかみな筆で仕上げられ、両者が対比をなす。画家は「自然の中ではいつも感じるのに絵の中には見られない、あの特別な新鮮さ」を求めた。所蔵館は、この作品の誕生を、1880年代にヴァシーリー・ポレーノフとイリヤ・レーピンが進めた、戸外の光の中で描く肖像(戸外制作)の流れに位置づける。律動のとれた構図と、明暗の釣り合い、調和した筆づかいが、開かれた魅力をもつ若さの像をつくっている。

来歴

所蔵館によれば、セローフは1885年から、モスクワ近郊アブラムツェヴォのマモントフ家の屋敷にたびたび長く滞在し、家族の一員のように迎えられていた。制作は1887年8月半ばに始まり、1か月以上続いた。皿はエレーナ・ポレーノワの絵付けとみられ、くるみ割り人形はセルギエフ・ポサードの市で買われてセローフ自身が彩色した。1840年代風のマホガニーの椅子は、屋敷の前の持ち主アクサーコフ家をしのばせる。本作は1888年にモスクワ美術愛好家協会のコンクールで一等賞を得た。1929年にA・S・マモントワから同館が購入し、所蔵番号は13011である。

意義

所蔵館によれば、画面に偶然の細部はなく、どれもがもてなしの厚いマモントフ家を物語り、肖像の叙情的な気分には、画家とその周りの人々との温かな関係が映っている。本作は、帝室美術アカデミーでのセローフの修業時代を締めくくると同時に、19世紀末から20世紀初めにかけて絵画の言葉を新しくしようとした一世代の志を示す作品となった。