《薔薇冠の祝祭》
緑の幕を背にした玉座の聖母子と天使たちが、ひざまずく人々に薔薇の冠を授ける。左には教皇と聖職者、右には皇帝と貴顕が並ぶ。右奥の木の下には、署名の紙を手にこちらを見る画家自身が立つ。
概要
《薔薇冠の祝祭》は、ドイツの画家アルブレヒト・デューラーが1506年に描いた油彩の祭壇画で、プラハ国立美術館が所蔵する。館によれば、デューラーがヴェネツィアに滞在していたあいだに、ドイツの商人たちの注文で、リアルトの教区聖堂サン・バルトロメオの礼拝堂のために描いた大きな祭壇画で、ヨーロッパのルネサンス絵画のなかでも最も重要な作品の一つとされる。
画面の読み解き
館の解説によれば、画面には玉座の聖母マリアと幼子イエス、聖ドミニクスと天使たちが描かれ、ともにロザリオの祈りを唱える薔薇冠の信心会の会員たちに、薔薇の冠を授けている。右手前には皇帝マクシミリアン1世がひざまずき、その後ろにはデューラー自身が立つ。画家は自分の署名を記した紙を手にしており、画中でただ一人、見る者に視線を向けている。左には聖職者たちに囲まれた教皇が描かれる。
技法・様式
館によれば、本作は板に油彩で描かれており、すでに17世紀の初めにはかなり傷んでいた。1839年から1841年には、リトムニェジツェの画家ヨハン・グルス(父)による修復が行われたが、技術上の誤りでさらに損傷が進んだ。2010年から2012年に欧州の研究事業 CHARISMA の一環として行われた調査では、もとの絵の層の深刻な傷みが明らかになった。
来歴
館によれば、作品は何度か持ち主を変え、1606年に皇帝ルドルフ2世が自らの収集のために買い上げてプラハにもたらされた。傷んでいたことがかえって幸いし、三十年戦争の終わりにプラハを略奪したスウェーデン軍に持ち去られずにすんだ。1782年のヨーゼフ2世の競売では不要な財産として城の収集から外され、ストラホフのプレモントレ会修道院が買い取った。1934年、いまの国立美術館の前身である愛国的芸術友の会の絵画館が取得した。
意義
館は2026年8月末に本作の修復を始め、8月31日にシュヴァルツェンベルク宮殿の常設展示「古典巨匠 I」から下ろした。作業は作品の状態と技法の選び方によって最長5年かかる見込みで、エルケ・オーバーターラーらヨーロッパの専門家による国際委員会が助言する。館の工程表では、2027年から2030年に修復を行い、2031年に額の修復と気候を制御する額への収納を経て、再び展示する予定である。