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《見よ、我は主のはしためなり(受胎告知)》

Ecce Ancilla Domini! (The Annunciation)
《見よ、我は主のはしためなり(受胎告知)》ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
Wikimedia Commons / テート・ブリテン / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
制作年
1849–1850年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
72.4 × 41.9 cm
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白い部屋の低い寝台で、白い衣の少女が目を見開き、壁ぎわに身を縮める。足もとに炎をまとった天使が、白百合の枝をその胸もとへ差し出す。脇には鳩が舞い、手前の赤い刺繍台には、百合の模様が縫いかけのまま残る。

概要

《見よ、我は主のはしためなり(受胎告知)》(英: Ecce Ancilla Domini! (The Annunciation))は、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティが1849年から1850年に描いた油彩画である。縦72.4センチ、横41.9センチの縦長のキャンバスで、ロンドンのテート・ブリテンが所蔵する。テートによれば、ロセッティはボッティチェッリやフラ・アンジェリコら初期ルネサンスの画家に学び、受胎告知の主題を根本から解釈し直そうとした。題はラテン語で、天使の告げを受け入れるマリアのことば「見よ、我は主のはしためなり」による。

画面の読み解き

テートによれば、伝統的にマリアは祈祷台で祈祷書を読み、静かに思いをめぐらせる姿で描かれてきた。ここでは、眠りを破られたかのように、低い寝台からぎこちなく身を起こし、大天使ガブリエルが白百合を差し出す。2人はともに白い衣をまとい、白はマリアの純潔を表す。天使の脇に浮かぶ小さな白い鳩は聖霊の臨在を示し、神の使いとしての天使の役目を強める。テートの展示解説は、不気味な色づかい、見開いた目、縮こまる姿勢がマリアの不安を伝えるとし、天使が寝室で夢を破るという珍しい場面だという。モデルには、天使に弟ウィリアム・マイケル、マリアに妹で詩人のクリスティーナを起用した。

技法・様式

テートによれば、ロセッティは色をほぼ白と三原色に絞った。青は天を表してマリアに結びつけられ、赤はキリストの血を象徴する。マリアの頭部のためには、赤毛のモデルまで探したという。構図も入念で、青い垂れ幕と寝台の端による縦の区切りは、ほぼ黄金分割の位置にある。鳩と、つぼみをひとつ残した百合がその区切りを横切り、受胎の道具となる。画面の下端には「3月」の日付が書かれ、受胎告知の祝日のある月を示すのかもしれない。

来歴

テートによれば、マリアの死を描く対の作品が構想されたが、着手されなかった。縦長の画面は、二連画の片方として考えられたためでもある。もとの額には、ラファエル前派の仲間F・G・スティーヴンズが持っていた真鍮の拓本から写したラテン語の銘が記されていた。1850年にナショナル・インスティテューションで展示されたが、教訓臭さもあって厳しく批判された。ロセッティは二度と公の場で展示しないと誓ったものの、1853年まで手を入れ続け、ベルファストの初期の支援者フランシス・マクラッケンに50ポンドで売った。1886年に購入され、所蔵番号はN01210。2026年10月時点では、テート・ブリテンの展示室10「Beauty and Protest 1845–1905」に展示されている。

意義

テートの展示解説によれば、ロセッティと妹クリスティーナはともに、距離をおいた描き方を退け、親密な感情に向き合う個人の視点を作品で探っていた。本作は、中世の受胎告知の図像を、こうした近代的で心理的な見方へと作りかえている。1850年の酷評を境に、ロセッティは公の展覧会からほとんど身を引くことになった。