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《聖家族》

Sacra Famiglia detta "Tondo Doni"
《聖家族》ミケランジェロ・ブオナローティ
Wikimedia Commons / ウフィツィ美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ミケランジェロ・ブオナローティ
制作年
1505–1506年
素材
板 / テンペラ
寸法
120 × 120 cm

円い画面の手前で、桃色の衣の聖母が草の上に座って身をよじり、背後のヨセフから幼子イエスを受け取る。低い石の壁の向こうには幼い洗礼者ヨハネがいて、さらに奥では裸の若者たちが手すりにもたれている。

概要

《聖家族》(伊: Sacra Famiglia detta "Tondo Doni")は、イタリアの彫刻家・画家ミケランジェロ・ブオナローティが1505〜1506年ごろに描いた円形の板絵である。直径120センチで、フィレンツェのウフィツィ美術館が所蔵する。注文主の名から「ドーニ家の円形画(トンド・ドーニ)」とも呼ばれる。所蔵館によれば、確かに画家の手になる板絵として今に伝わる唯一の作品である。

画面の読み解き

円い画面の手前で、桃色の衣に青いマントをまとった聖母マリアが草の上に座り、上半身を大きくひねって両腕を右肩の上へ上げる。その背後で、白いひげのヨセフが幼子イエスを聖母の手に渡す。所蔵館によれば、群像は三角形に組まれて画面の高さと幅のほとんどを占め、そのまとまりは丸屋根の構造にたとえられてきたが、内側は体のねじれと、ヨセフから聖母へ幼子をそっと渡す身ぶりの連なりで動いている。群像の後ろには低い石の壁があり、その右の向こうで幼い洗礼者ヨハネが聖家族を見上げる。さらに奥では、裸の若者たちが手すりにもたれたり腰かけたりし、遠くには青い山並みが見える。館は、ヨセフの左右の若者たちに、1506年1月に発掘された古代彫刻《ラオコーン》や《ベルヴェデーレのアポロン》からの引用があるとする。

技法・様式

板に、油を加えたテンペラ(テンペラ・グラッサ)で描かれる(テンペラ)。所蔵館によれば、ミケランジェロはこれより少し前、初期ルネサンスに家庭の祈りの調度として好まれた円形の画面の可能性を、大理石の浮彫《ピッティ家の円形浮彫》(バルジェッロ国立博物館)と《タッデイ家の円形浮彫》(ロンドンのロイヤル・アカデミー)で探っていた。どちらも聖母と幼子、幼いヨハネが浮彫の面いっぱいを力強く占める。本作も彫刻のように構想されている。この表現豊かな構成は、当時ローマの別荘の発掘から現れつつあった、渦を巻くような動きと強い表現をもつヘレニズム期(前3〜前1世紀)の大理石彫刻を、画家がよく知り、学んでいたことから生まれたという。

来歴

所蔵館によれば、フィレンツェの商人アニョーロ・ドーニのために描かれた。ドーニは1504年にマッダレーナ・ストロッツィと格式の高い結婚をし、その結婚と最初の娘の誕生を、ラファエロが描いた夫妻の肖像と、ミケランジェロの本作で祝った。館の作品情報の年代は1505〜1506年だが、館の解説は、作中の《ラオコーン》の引用から、制作を娘マリアが生まれた1507年9月ごろとみることもできるとする。額は、おそらく画家の構想にもとづき、フィレンツェ木彫の最高の伝統を担ったフランチェスコ・デル・タッソが彫った。キリストと4人の預言者の頭部をグロテスク文様と唐草が囲み、左上にはストロッツィ家の紋章である半月が隠れている。所蔵番号は1890年目録の1456番で、館の「ラファエロとミケランジェロ」の展示室にある。

意義

所蔵館によれば、16世紀の最初の10年、フィレンツェにはレオナルド、ミケランジェロ、ラファエロがそろい、文化がきわめて高く燃え上がった。本作はその時代の最高の表現の一つである。館は、裸の若者たちを異教の人類、低い壁を原罪の象徴とみる読み方を紹介する。壁の向こうに幼いヨハネが立つことから、洗礼にかかわる意味をこめた絵とも解されるという。